“5戦連続”「経験したことない」異例事態の謎 監督も本音…J1残留へ22歳が紡いだ手掛かり

柏は後半ATに神戸に追い付かれた【写真:徳原隆元】
柏は後半ATに神戸に追い付かれた【写真:徳原隆元】

柏は神戸戦で1-1のドロー、後半AT失点に関根「ずっと課題」

 柏レイソルは11月30日、J1リーグ第37節ホームのヴィッセル神戸戦で1-1のドローに終わった。リーグ戦直近5試合ともに後半アディショナルタイム(AT)に失点を食らい勝利を逃している。「5試合連続でATに失点というのは私も経験したことはない」と、井原正巳監督は会見で言葉を漏らす。選手もこの状況に、言葉を詰まらせる瞬間があった。

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 勝てば残留が決まる首位神戸とのホーム戦は、幸先の良いスタートを切る。前半5分、左のコーナーキック(CK)から190センチの長身FW木下康介が頭で合わせて先制。試合終盤までリードを保った。神戸相手に「アグレッシブ」に選手が戦い、監督も試合後に選手たちを称えている。しかし、何度も惜しい場面がありながら追加点がなかなか奪えなかった。

 試合終盤にVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入。前半に警告を受けていたDFジエゴが2枚目で退場になったうえ、神戸にPKが与えられた。ここではキッカーのFW大迫勇也が枠を外し、ホームサポーターは勝利へ向けてより大きな声援を送る。しかし同AT10分、相手のCKの流れから、FW武藤嘉紀に最後はネットを揺らされた。約4分間のVARチェックが行われたのち、この得点は認められ劇的なゴールとなる。

 前半から上下動を繰り返し、攻守で好プレーを見せていた22歳の日本代表DF関根大輝は、ミックス対応中に何度も言葉を詰まらせながら、探るように話す。「2点、3点取れる場面はあった。そこで取れていたら結果は違ったはず。そこがずっと課題。(追加点が)入っていたら、もっと上の順位にいる」と、上位クラブとの違いを実感。それでも、神戸戦の収穫を明かす。

「今まで引き分けだった試合は1点を取ってからあまり攻めることができなくなって、守りに徹する場面が多かった。今日は、守りながらもカウンターで出ていくというところはチームとして出せていた。決めきること、クロス1つに合わせるなど、個人のクオリティーの部分をより意識してやっていかないと」

 後半ATでの5試合連続失点に加え、柏は複数得点を挙げての勝利からも遠ざかっている。8月17日の湘南ベルマーレ戦(2-1/第27節)が最後だ。一方で、「被シュート総数」に限っていえば首位神戸の405本と大差ない406本(※第37節終了時)。守備面において自陣ゴール前で、より踏ん張りを利かせる必要がある。関根は今年の北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選でA代表も経験し「全選手が集中し続けて90分間プレーしているというところを学んだ。まだ自分には足りない」と痛感。「着実に、自分のレベルは1年通して成長できている」とも話す187センチの若武者は、個人としてもさらに上へ…意欲を示す。

「汰木(康也)選手に入れ替わられた場面もあった。90分通して完璧にこなせないと、自分の評価も落ちる。自分のクオリティーをさらに上げないといけない。(得点やアシストなど)数字が残っているだけで印象が違う」

 この日の三協フロンテア柏スタジアムには、1万3700人の観客が集まった。黄色のユニフォームが会場の3分の2ほどを占め、大声援を送る。この後押しは「滅多に感じられることではない」(関根)。「大勢のサポーターが駆け付けパワーを送ってくれた。5試合連続でATに失点というのは私も人生の中で経験したことはない。これを次に生かしていくしかない。勝ち点1をどう生かしていくのかは自分たち次第」(井原監督)。次週はアウェーの北海道コンサドーレ札幌戦。すでに降格の決まったクラブを相手に、難しい戦いも予想される。若い選手の苦悩も還元し、柏はラスト試合で残留を“勝ち取り”に行く。

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