磐田MFが本音ポロリ「蹴りたくない」 劇的PK決断の秘話、前日練習の伏線「頭脳プレーです」
ジャーメイン良とのやり取りを明かす
ジュビロ磐田は11月30日、J1リーグ第37節でFC東京と対戦し2-1で大逆転の勝利を収めた。勝利以外ではJ2への降格が決まるなか、試合終了間際に訪れたPKの場面でキッカーを務めたのは、今季限りでの引退を発表しているMF山田大記だった。「緊迫した場面では蹴りたくない」と前日にチームメイトと話をしていたというが、どうして蹴ることになったのか、またその秘話を明かした。
【PR】ABEMA de DAZN、明治安田J1リーグの試合を毎節2試合無料生中継!
他会場の結果関係なく、引き分け以下の場合は降格が決まる磐田。ホーム最終戦でFC東京を迎え撃ったが、後半開始早々にコーナーキック(CK)から失点を許す。それでも、後半35分にセットプレーから追い付くと、終了間際に絶好のチャンスが訪れる。
CKの流れからこぼれ球を拾った磐田MF藤川虎太朗が右足を振り抜くと、ボールが相手の腕に当たりフリーキック(FK)判定に。しかしここでVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入し、ハンドがペナルティーエリア内であったと判定され、PKへ変更となった。
PKは普段FWジャーメイン良が務めていたが、ここでは山田が務めた。「前日の練習で(山田)大記くんとPKになったらどうするか話をしていて、緊迫している場面だと蹴りたくないって大記くんは言っていたんですよ」と話したと言うが、「自分もちょっといろんなところ痛めてて、大記くんに『蹴る?』って聞いたら蹴るって言ったから渡した感じです」と経緯を明かした。
さらに山田も試合後の引退会見で「珍しく蹴りたいと思った。その前のFKの時から、今日はフィーリングがいいから蹴らせてくれと周りに言っていたし、だからPKの時も自分が蹴りたいと思った」とキッカーを務めようと思った心境を語った。
VARチェックが入っている間から直前まではジャーメインがボールを持っており、間際になって山田へとボールを渡していた。この理由としてジャーメインは「大記くん独特な蹴り方するので、大記くんが蹴るってわかると、ベンチから蹴り方の情報が入っちゃう。だからギリギリまでボール持っといてって、前日の練習から大記くんから言われた。チームプレーというより大記くんの頭脳プレーです」と言及している。
山田もジャーメインと同じような説明をしつつも「相手のGKはベンチにいってなかったんですよ(笑)」と言及し、「だから結果としては全く効果がなかった。あれ?ベンチに行かないなーと、あんまり意味ないなーと思いながらいたんですけどね」と話し会場を沸かした。
PKは「みんなの思いが決めさせてくれるなと思った」
VARが介入している間や、ボールをジャーメインから受け取った時、そしてボールを置いて実際に蹴るまでの時間でいろいろなことを考えていたと山田は明かした。
「さすがにサッカーの神様はこのPKは外させないだろと思いつつも、僕は結構PKを外してきているんですよ。大学最後の時もだし、高校の時も大事な時に外していた」と、勝負強いイメージのある山田には意外な過去があった。
それでも、「動悸は凄くしていたけど、その時に磐田のゴール裏サポーターを見ました。みんなの思いが決めさせてくれるなと思ったし、心からそう感じました」と、心境を明かした。
「決まって一番はほっとした。来年は自分がいないと決まっているからこそ、自分のプレーで降格が決まると責任が取れないというか無責任な形になると思っていたから、責任を果たせてほっとした。もしほかの人が務めて外すとなったら今後のキャリアも含めて影響があるんじゃないかなと思ったので、そこは自分が責任を背負いたいと思った」とフィーリングだけではなく、山田なりに責任を背負ってあの場に立っていたのだ。
磐田は最終節で降格が決まっているサガン鳥栖とのアウェー戦に挑むなか、磐田の“背番号10”はチームを残留に導くプレーを見せられるのか、山田の一挙手一投足から目が離せない。