大迫勇也「オフサイドじゃないと」 劇的展開への道筋…武藤嘉紀と口を揃えた「あと2分ある」
武藤の得点がVAR確認後に認められ決勝ゴール
ヴィッセル神戸は11月30日、J1リーグ第37節で柏レイソルと対戦し土壇場で1-1のドローに追い付いた。アウェーで先制点を奪われる苦しい試合となったなか、2度のVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が命運を分ける。その最前線にいた元日本代表2人の思いは心強いものだった。
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第36節を終えた時点で首位(勝点68)に立っていた神戸。柏戦で勝利した場合は優勝へ王手の可能性も大きかったが、「一番やりにくい」アウェーピッチで苦戦する。FW武藤嘉紀は「一番粘着質でみんな毎回苦しんでいる」という三協フロンテア柏スタジアムを振り返る。前半5分に失点し、鋭いカウンターを何度も仕掛けた相手のペースに飲まれた。
ゲームは0-1のまま試合終盤へ。すると後半43分、VARでのオンフィールドレビューのうえ、柏DFジエゴの武藤へのファウルが認められ神戸にPKが与えられる。このプレーで2枚目の警告を受けたジエゴは退場に。PKキッカーは10番FW大迫勇也が務めたが、これを枠外に外してしまう。
「迫くん(大迫)が今までチームを救ってきた部分もありますし、彼の気持ちを汲んで、何とかチームで1点取りたいなという気持ちはありました」
後半アディショナルタイムは13分。そんな思いを抱えた神戸に、再び命運を分ける判定事象が起こる。同アディショナルタイム10分、右のコーナーキック(CK)の流れから、一度クリアされたボールをDF酒井高徳が相手ペナルティーエリア内へ放り込む。大迫が頭でつなぎ、DF広瀬陸斗がシュート。その流れからこぼれたボールを武藤がゴールに蹴り込んだ。
「とにかく冷静に」という意識で決めた得点は、一度オフサイドの判定で取り消されるも、VARチェック。大迫のポジションがオンサイドだったことが認められ、同アディショナルタイム14分に得点が認められた。武藤はユニフォームを脱ぎ喜びを露わに。「オフサイドだと思って諦めていました。そこからのゴールだったので感情が爆発してしまいましたね」と試合後に笑顔を見せる。
一方の大迫は「感覚的にはオフサイドじゃないと感じていました。たぶん大丈夫だよな」と自分の位置を把握していた。だが2人は得点後の喜びも束の間、ピッチへ颯爽と戻る。
「あと2分ある」
そう聞いた2人は逆転を狙うべく次に切り替えた。「すぐにもう一点取りに行きました」。そう語った武藤の言葉に、神戸の底力が表れていたのかもしれない。
(FOOTBALL ZONE編集部)