森保ジャパン「未招集タレント11傑」 代表へ呼ぶべき人材は…高卒で渡欧20歳逸材の名も【コラム】
森保ジャパン未招集組の中から、招集される可能性がありそうな11人を厳選
現在アジアで圧倒的な強さを見せている森保ジャパンだが、未招集の選手にも、代表での活躍が期待できるタレントは少なくない。ここまで第1次、第2次とも森保ジャパンに未招集で、ここから北中米ワールドカップ(W杯)までの1年半で、森保一監督に招集される可能性がありそうな11人を選んだ。システムはもちろん、最終予選で固定的に使われている3-4-2-1だ。(文=河治良幸)
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GKは今夏のパリ五輪で守護神に君臨した小久保玲央ブライアン(シント=トロイデン)を選んだ。ポルトガル屈指の名門であるベンフィカのBチームから巣立ち、鈴木彩艶(パルマ)が飛躍につなげたベルギーの地で、試合経験を積み重ねている。ポテンシャルは鈴木にも比肩される才能が、ここからどうA代表に食い込んでくるのかは楽しみだ。
3バックはチェイス・アンリ(シュツットガルト)、山川哲史(ヴィッセル神戸)、佐々木旭(川崎フロンターレ)を抜擢した。渡辺剛(ヘント)を筆頭に、最終予選に招集されていないタレントにもこれまで一度は招集された選手もいるなか、欧州5大リーグでチャンスを掴みつつある20歳のチェイス、天皇杯王者で守備のリーダーを担う山川、そして左右のサイドバックとセンターバックをこなし、いかにも3バックがハマりそうな佐々木という組み合わせはリアルに組まれても面白い。
そのほか、ウイングバックとの兼用で、守備のデュエルと攻撃の機能力を兼ね備えた中野就斗(サンフレッチェ広島)も推したい。スーパーポリバレントな綱島悠斗(東京ヴェルディ)、また降格危機にあるチーム状態で評価されにくいが、岡村大八(北海道コンサポード札幌)あたりも3バック継続なら、面白いタレントだ。本来は非常に層の厚いポジションだが、冨安健洋(アーセナル)や伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)が怪我で長く外れており、最終予選で3バックを統率してきた谷口彰悟(シント=トロイデン)もアキレス腱の負傷で来年3月の復帰も難しい。国内外のタレントに十分チャンスがあるポジションだろう。
ボランチも伊藤敦樹(ヘント)や佐野海舟(マインツ)など、3バックと同じく森保ジャパン招集経験があるタレントが多く、ここから新たに、遠藤航(リバプール)や守田英正(スポルティング)を軸とするポジションの競争に割って入りそうな未招集選手となると、やや難しさはある。その中で面白そうなのが、河原創(川崎フロンターレ)と佐野航大(NECナイメヘン)の2人だ。河原は無尽蔵の運動量とボール奪取力、キックの展開力をハイレベルに備えており、飄々とはしているがメンタリティーの強さも感じさせる。
佐野航は2列目、サイド、ボランチをこなせるポリバレントでありながら、それぞれのポジションでスペシャリストのように振る舞える。さながら往年のフィリップ・コクのようだが、現在オランダでは万能型のボランチとして存在感を高めてきている。代表のボランチに求められる基準で評価すると、柏レイソルからベルギーに渡った高嶺朋樹(コルトレイク)もチームの押しも押されもせぬ主力として定着、そして近い将来さらなるステップアップを見せれば可能性がある。バイエルンに見出された才能で、現在ポルトガルで奮闘する福井太智(アロウカ)も飛躍を期待したい1人だ。
J1で16得点…川崎の山田は代表でもチャンスを与えて欲しい1人
左右ウイングバックは明本考浩(ルーヴェン)と濃野公人(鹿島アントラーズ)を選んだ。明本にとってウイングバックは適正ポジションと考えられるが、2シャドーでも高強度の守備やFW経験を発揮できるので、現在の森保ジャパンにもないアクセントが期待できる。濃野はルーキーイヤーにして、右サイドバックで9得点を記録するブレイクぶりだった。終盤に負傷離脱したが、攻守にハードワークしながら勝負どころで決定力を発揮するタフさがあり、攻撃的なタレントをベースとする右ウイングバックでも、また違った武器を加えられそうだ。兎にも角にもコンディションをフルに戻して、さらなる飛躍につなげてほしい。
2シャドーは未招集の有望タレントが多く、良い意味で悩ましかったが、基本的なプレー強度で代表基準を満たしながら、現在の2シャドーとも違った武器を加えられそうな宮代大聖(ヴィッセル神戸)と藤本寛也(ジル・ヴィセンテ)をピックアップした。宮代はアンダー代表の同僚だった久保建英(レアル・ソシエダ)や中村敬斗(スタッド・ランス)にかなり先を行かれたが、Jリーグで地道に経験を積み上げて、神戸で大迫勇也や武藤嘉紀とともに神戸の主力を張り、天皇杯ではチームを優勝に導くゴールを決めた。今最も飛躍を期待できるタレントの1人だ。
左利きの藤本は技術が高く、正真正銘の10番と言えるタレントだ。ボールコントロールやパスの正確性は欧州で活躍する日本人選手の中でも特筆に値するが、そこに今シーズンは半期で5得点2アシストという結果も付いて来ており、そろそろ次のステップアップが期待される。セットプレーのキッカーとしても素晴らしく、前田遼一コーチが設計する森保ジャパンのデザインされたセットプレーに彼の左足が加われば、まさしく鬼に金棒だ。
1トップは町野修斗(ホルシュタイン・キール)やオナイウ阿道(オセール)など、すでに森保ジャパンに招集経験のあるタレントで、再招集が待たれる選手が多い。それでも大卒2年目にしてJ1で16得点を叩き出している山田新(川崎フロンターレ)は予選突破が見えてきたところで、そろそろ代表でもチャンスを与えて欲しい1人だ。ボックス内の強さを発揮できるのは前線だが、現在のシステムだと2シャドーで南野拓実(ASモナコ)のような起用のされ方も面白い。ただ、ゴール前の決定力こそ超国内級だが、日本代表のFWはそれ以外のタスクも多いため、ここから多くの刺激を得ていく必要があるだろう。
今シーズンのJ1で19得点のジャーメイン良(ジュビロ磐田)も、いつ森保ジャパンのメンバーになってもおかしくないが、29歳で代表未招集という立ち位置を考えると、現実的には難しい。ただ、来年7月にはE-1選手権が予定されており、国内組だけで臨むことが想定される同大会で招集されれば、国際レベルでも実力を示すチャンスだろう。J2得点王の小森飛絢(ジェフユナイテッド千葉)は現在24歳で今後の伸びしろも期待しかないが、森保監督の基準からすると、上のステージでの活躍は代表招集の最低条件になってくるかもしれない。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。