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アギーレ流は浸透しているのか 4-0快勝の裏に潜む日本の課題
ザッケローニ体制から日本は進歩しているのか
失意の2014年FIFAワールドカップブラジル大会後最初の公式戦となるアジアカップが開幕した。前回は、アルベルト・ザッケローニ監督のもと、次から次へと接戦をものにしてアジアのチャンピオンとなった。
ただ、前回と今回では、試合前のチームを取り巻く状況が大きく異なる。
前回は、監督就任後わずか1か月の期間しかなかったものの、アジアカップの直前に行われた親善試合でメッシ擁する強豪アルゼンチンを1-0で破り、2010年のW杯ベスト16という実績に、さらなる上積みの可能性を感じるスタートだった。
一方今回、W杯惨敗の総括が行われる間もなく就任したハビエル・アギーレ監督には5か月の準備期間があった。しかし、その準備期間は新戦力の発掘よりむしろ、ザック前監督の下で成長した“遺産”の重要性の認識と“八百長疑惑”への対応に追われ、必ずしも有効なものでは無かったように見える。
そうしたそれぞれの大会前の状況はあるものの、本番では一切の言い訳が通用しない。だからこそ、試合という本番で起きたFact(事実)を基に冷静に分析を進めていきたい。
日本代表は、アジアカップに向けた千葉、オーストラリアセスノックのキャンプ地においてかなりの時間をサイドからの攻撃の練習に割いた。アジアでは日本に対するリスペクトからか「引いて」守るチームが多い。その対策としてのサイド攻撃だと推察される。
サイドに起点を作ることによって少しでも「開かせ」中央にスペースを作ること、縦に放り込むボールの対応に比べて横からのボールへの対応が得意ではないという2点が理由だろう。
しかし、アギーレ監督自身の持つサッカーへのフィロソフィーは前への速さ、強さであったり、攻守の切り替えの速さ、そして球際の強さだ。
試合の結果は4-0で快勝、八百長疑惑を一蹴!くらいの見出しがつきそうな感じもするが、ここでは、アギーレ監督が掲げるフィロソフィーをベースとした上で“アジアカップ向け”戦術が機能していたかどうかを中心に見ていきたい。
まず、相手との力関係をポゼッション率及びパスのデータから見ていきたい。
ポゼッション率は試合を通して64.4%、約3分の2弱は日本が試合を支配していたことになる。このポゼッション率はアジアのチームとの試合では決して珍しいものではない。パスの本数で表すと552本対315本、パスの成功率は83.3%:74.3%だ。数字が示すように十分にイニシアチブを取れる状況下でどのように得点を重ねるか、いかにして余計な失点をしないかというのがグループリーグでは大切なことだ。