武藤嘉紀が感嘆「すごい」 ゴール直前に大声かけ“完璧パス”…思わず唸った咄嗟の判断
神戸が5大会ぶり2度目の天皇杯優勝、決勝ゴール場面で光った大迫の判断
難しい試合でも、エースはしっかりと仕事をした。ヴィッセル神戸は11月23日に行われた天皇杯決勝でガンバ大阪と対戦。相手の堅守に苦しめられながらも、後半19分にFW宮代大聖が決勝ゴールを挙げ1-0で勝利して、5大会ぶり2度目の天皇杯優勝を成し遂げた。
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10番を背負う元日本代表FW大迫勇也は、「しっかりタイトルを取れたことは素晴らしいことですし、本当にチーム全員で勝ち獲ったタイトルだったかなと思います」と、昨季のリーグ戦に続き、加入後2つ目のタイトル獲得を喜んだ。
今月10日の東京ヴェルディ戦(1-1)を負傷欠場していた大迫だが、このファイナルに合わせて調整をしてきた。「怪我をしていたので、なかなかコンディション的にも良くなかったです。僕的には、ヴェルディ戦も怪我で出られなくて、休む時間が長かった。しかも(試合も)長く空いたので、調整的には難しかったですが、スタメンとして出ることの責任感を持ってプレーできましたし、本当にちょっとしたところで勝てると思っていた」と、虎視眈々とチャンスを狙っていた。
序盤からG大阪に試合の主導権を握られる形となり、神戸はなかなかチャンスを作れなかった。それでも大迫は冷静に相手を見て、「相手もそんなに怖さがある、ゴール前に入ってくる感じではなかったので、そこは我慢しつつ、僕ら一個一個、前の選手たちが隙を狙えれば点は取れると思っていた」と言い、「そのとおりになって良かったです」と胸を張った。
実際、G大阪のセンターバック陣にも厳しくマークされ、なかなか攻撃の基準点を作れなかった大迫だったが、しっかりと決勝ゴールに絡んでいる。ロングボールがFW佐々木大樹に入ると、その落としを受けて反転しながら左に走りこんだ元日本代表FW武藤嘉紀へスルーパスを出した。これで抜け出した武藤のシュートを相手DFがブロック。宮代が押し込んでゴールが決まったのだ。
大迫がルックアップできない状況であることを確認していた武藤は、「(大迫に)声をかけました」と明かす。「かなり大きな声をかけました。サコくんのすごいところは、声をかけた瞬間にうしろの自分の位置を把握してくれて、そこで動きを変えられるところ。自分がどフリーであることも分かっていたので、確実に(パスが)出てくると思った。少し遅めに入りましたけど、しっかり見てくれました。あまり近すぎるとスペースもなくなるので、本当にいいタイミングで、最高のパスをくれました」と、G大阪の守備を破ったパスを振り返る。
大迫も「イメージで」武藤の動きを感じていたと言い、「全員がゴールに向かえたいいプレーでしたし、いいゴールだったと思います」と、個の力を前面に出しつつ相手のゴールをこじ開けていく今シーズンの神戸を象徴するような得点を振り返った。
「今日しっかり85分くらいまでプレーできて、ここからコンディションもまた上がると思う。本当に今日はチームが勝てたことが嬉しいですし、勝てて良かったです」と語る一方で、「まだリーグ戦もACLもあるので、あっさりしています」と、神戸で2つ目のタイトル獲得が通過点であることを強調する。「本当に次に切り替えないといけないですし、個人的にはやっと身体が慣れてくるなという感じだったので、また次から頑張ります」。
残り2節となったリーグ戦で首位に立っており、クラブ初のシーズン2冠の可能性もある神戸にとって、昨季MVPを受賞した大迫のこの言葉は、この日のタイトルと同様に喜ばしいものだ。