川崎の同点弾は必然? 指揮官の「手を抜かない」準備…開始から“100%の力”を出せた訳

浦和との再開試合をドローに持ち込んだ川崎【写真:Getty Images】
浦和との再開試合をドローに持ち込んだ川崎【写真:Getty Images】

川崎はFW小林悠のゴールで追い付いた

 川崎フロンターレは11月22日、0-1のビハインドだったハーフタイムで中断していたJ1第28節の浦和レッズ戦の後半45分を戦い、FW小林悠のゴールで1-1の同点に持ち込んだ。

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 試合後の会見で、川崎の鬼木達監督は「45分という非常に誰にも想像がつかない、予想がつかないようなゲームだった。準備を含め、やれることをすべてやろうというなかでスタートからアグレッシブに戦ってくれた」と試合を振り返ったが、川崎の選手たちは90分の試合を戦う時とはウォーミングアップも変えて、短時間の決戦に臨んでいた。

 この45分間を通して浦和を圧倒していた川崎だが、唯一のゴールを決めた小林は、「みんなですごく良い準備ができて、なんとか追い付くことができて良かった」と、安堵した。そして「鬼さん(鬼木達監督)とコーチたちが、試合が45分と分かっていたので、良い入りができるように、いつもより強度の高いトレーニングを(アップで)してくれました」と明かし「チームみんなスタートから良い入りができたのは、本当に鬼さんとスタッフのおかげだと思います」と感謝した。

 すでに選手たちには、鬼木監督から前日の時点でウォーミングアップの内容を強度の高いものに変更することが伝えられていたという。通常であれば先発とベンチメンバーが別々にアップをするが、対人のメニューもあり、ほとんどの選手が等しく強度の高いアップに取り組んだ。小林のゴールをアシストしたDF三浦颯太も、「チーム全体でウォーミングアップから変えてくれて。アップの時点で相当、みんな息が上がっている状態だった。それでスタートから100%の力が出せたんだと思います」と、その効果を認めた。

 また小林は「試合前のミーティングでも、『アップもいつもと違うチャレンジになるが、後悔したくないから』と、勝つための可能性を少しでも上げたい鬼さんの説明で、僕たちもテンションが上がりました。やっぱり勝つために、手を抜かない鬼さんの良さというか。それが選手たちに伝わり、良い入りができたと思います」と、今季限りで退任する指揮官の言葉の重みをあらためて感じていた。

 逆転することはできなかったが、勝ち点1をつかんだ川崎は、26日にタイで行われるブリーラム・ユナイテッドとのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)第5節を控えている。試合終了後、埼玉スタジアムから羽田空港へ移動して、そのままタイに向かうハードスケジュールになっている。

 今シーズン、苦しい時期が続いた川崎。ブリーラム戦も暑いタイでのゲームとなり、環境の変化への適応が求められるが、チームを率いる鬼木監督は少しでも勝利の可能性を高める方法を模索しながら、一つひとつのゲームをこなしていく。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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