“異例の45分”が浮き彫りにした浦和の課題 「改善の余地はある」…指揮官が指摘する悪癖

川崎との再開試合を引き分けた浦和【写真:Getty Images】
川崎との再開試合を引き分けた浦和【写真:Getty Images】

浦和は川崎と戦い1-1のドロー決着

 浦和レッズは11月22日に川崎フロンターレと”約3か月のハーフタイム”を挟んだ再開試合を戦い、トータル1-1の引き分けで終えた。この日の45分間だけ見れば0-1というゲームを終え、スロースターターな傾向のある課題が浮き彫りになった。

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 浦和と川崎の対戦は当初、8月24日に埼玉スタジアムでキックオフされて前半にMF渡邊凌磨の先制ゴールにより浦和がリードを奪った。しかし、時間を追うごとに雨が強まり、ドリブルもままならないピッチコンディションになりハーフタイムへ。そして雷もスタジアムでは鳴り響くようになり、後半を行わずに中止することが発表された。その試合は、約3か月が経ったこの日に後半45分間の再開試合で行われた。

 スプリント戦のようなニュアンスのある45分間、そして1点ビハインドの川崎が前掛かりに強い立ち上がりをしてくることは予想されたが、浦和はその流れに飲まれてしまった。ボールキープもままならずに体勢を整えることができず、後半10分にセットプレーを契機に左右から揺さぶられ、最後は相手FW小林悠にヘディングでの同点ゴールを許した。小林は8月のゲームではベンチスタートだったが、MF脇坂泰斗の負傷離脱を受け規定のなかでこの45分間のスタートから出場していた。2トップ気味に、攻撃的な姿勢を打ち出してきた相手に狙い通りのゴールを許した。

 マチェイ・スコルジャ監督は試合後に「もちろんいい立ち上がりにしたかったが、それに向け準備をしてきたのにもかかわらずやろうとしたことができない立ち上がりだった。立ち上がりからゲームコントロールができない中、我々が何とか改善しようとしているなか、10分で失点してしまった」と話した。

 その後も、なかなか浦和はボールを落ち着けることができなかった。ゴールチャンスは後半20分に前線のコンビネーションから渡邊が放ったシュートと、後半34分に渡邊のラストパスをMF松尾佑介が合わせるもゴールポストに当たった2回だった。いずれも自陣からMFサミュエル・グスタフソンが状況を打開した末に生まれたチャンスだったが、それ以外では攻撃の仕上げに掛かるような位置まで運ぶこともできなかった。

 スコルジャ監督が「通常の試合でも前半の流れがあまり良くなく、後半に改善して結果を残す試合が多かった。45分のみの試合ということで、そこは心配していた」と話したとおりの姿だった。11月10日のサンフレッチェ広島戦(3-0)も、前半に自陣で守備を固めて相手が疲れてきた時間帯から攻勢に出た。全体的に、スコルジャ監督が再就任した9月からはそのような試合の流れが続く。まだまだ、元気な状態で連動したプレスを掛けてくる相手を上回ってボールを支配して前進していく質は出せていない。

 本来なら、この日のように多少劣勢な45分を終えたとしても、後半に反撃を見せようとする。しかし、その45分がなかった。グスタフソンもまた、「この前のゲームで広島を倒したからといって、僕たちが素晴らしいチームだと言うには早い」と話す。

 スコルジャ監督は、このスロースターターぶりについて「1つ理由を挙げるなら、姿勢やモチベーションの部分に改善の余地はある」としたうえで、実際にピッチ上に現れるものとして「1つは選手たちの距離感だろう。ロングボールを蹴った後の距離感が悪ければセカンドボールは回収できない。そしてボールをキープするためには、ローテーションなどの動きが必要になる。今日はサイドのローテーションや選手同士がポジションをスイッチする場面があまりなく、受け身の姿勢になっていた」と話した。

 リーグ戦の残り2試合について「今までベンチスタートが多かった選手に出場機会を与えることをやっていきたい」と話した指揮官だが、特にマイボールから前進していく部分の質を高めなければ、相手が疲れてきた後半に勝負する試合が続いてしまうだろう。来季に向けても、課題となる部分が浮き彫りになる45分間だった。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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