4.5万人集結、スタジアムで煙…記者が見た中国の実態 街中で感じた“コントラスト”

サポーター乱入後に失点を喫した中国【写真:ロイター】
サポーター乱入後に失点を喫した中国【写真:ロイター】

バーレーン戦に続き、アウェー中国戦では乱入者を含む多数の異例事態

 森保一監督率いる日本代表は、アウェーの異様な雰囲気を乗り越え、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で快調に勝ち点を重ねている。6節を終えて敵地での試合は4試合、すべて白星だ。なかでも11月19日の中国戦は異例事態のオンパレード。中国特有の洗礼とは裏腹に、人に焦点を当てればまた違った一面が見えてくる。

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「レーザーポインターもそうだし、国歌斉唱の時にブーイングもあったが、それ以上に僕らがこの環境と、自分たちのコンディションと、短い時間での準備というところで、選手はそこに集中してきた」

 これは9月の敵地バーレーン戦で、PKシーンの際に“被害を受けた”FW上田綺世の言葉だ。聞きなじみのない音楽が会場に流れ、熱中症も頻繁に起こりうるような過酷環境。中東の島国で日本は5得点のゴールラッシュを見せた。

 10月のサウジアラビア戦(2-0)、ホームのオーストラリア戦(1-1)を挟み、11月はインドネシア戦(4-0)、そして中国戦と過密日程のアウェー連戦となっていた。A代表にとって2024年ラストマッチは、中国のリゾート地「厦門」の廈門白鷺スタジアムが舞台。アジアカップのために作られた新しいスタジアムだが、2023年に開催されずようやく日の目を浴びた。

 その会場に集まったのは、4万5336人のオーディエンス。キックオフ5時間以上前から中国サポーターが集結し、厦門市周辺から集められた警備員総動員で、厳戒態勢が敷かれた。中国選手の紹介では、漫画風のイラストとともに現地ファンを盛り上げる。中国国内のポスターにも、同じような画風が使われていたようだ。

 その後、日本の国歌斉唱シーンでは地鳴りのようなブーイング。バーレーン戦以上の怖さを感じたのは、自分だけではないはず。ピッチはFIFA既定(推奨)の広さより若干狭める工夫が施され、試合中にはレーザーポインター照射、突然の観客乱入など、日本ではあまりない事象が立て続けに起こった。レーザーの光を当てられたGK鈴木彩艶は「海外でプレーしていれば色々なことがある。自分としてはまったくいつも通り。なんかやっているな、くらいの認識」と、頼もしい言葉をかけてくれた。

 ハーフタイム中のお手洗いではたばこの煙がもくもくと……。これも日本では体験できない光景だった。アウェーの洗礼も、日本は3-1で勝利。試合後は、異様な試合風景と変わり、現地記者たちが「中国の進化ってどう?」と森保監督に尋ねる姿勢が印象的だった。

 過激なサポーターがいるのも事実ではあるが、森保監督が「いい雰囲気」と表現した中国の一体感は見事。一方、街は非常に穏やかな空気が流れる。英語もほぼ通じないスタジアム周辺で困っていた際、日本語対応してくれた女性警察官は、非常に丁寧で、物腰が柔らかかった。殺伐とした試合と、“人”個人にフォーカスを当てれば大きなコントラストが感じられた。LINEやGoogle情報も通さない、来訪者泣かせの中国は、そんな姿で日本を“歓迎”していた。

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