19歳の日本人MFが「まるで若い頃の香川真司」 欧州リーグ得点王に驚愕「すげえな」【見解】
【専門家の目|太田宏介】谷川萌々子の多彩な才能「本当にサッカーIQの高い選手」
なでしこジャパン(日本女子代表)の19歳MF谷川萌々子は、2024年から欧州へ渡り着実に成長を重ねている。現在はスウェーデン1部FCローゼンゴードでプレーし、今季20試合16ゴールの大活躍でリーグ得点王を獲得。パリ五輪で日の目を浴び邁進する谷川について、元日本代表DF太田宏介氏も「若い頃の香川真司みたい」と絶賛している。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)
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JFAアカデミー福島出身の谷川は、2024年1月にドイツ女子1部バイエルン・ミュンヘンに加入。今季はローゼンゴードへ期限付き移籍すると早速、シーズン20試合で16ゴールを奪う活躍を見せ、リーグ得点王に輝いた。中盤のポジションながら得点を量産する谷川に、太田氏は「まるで若い頃の香川真司みたいですね」と、男子サッカー元日本代表アタッカーの名前を例に称賛している。
「右利きなのに、左右両足からミドルが打てます。GKをかわしても冷静に決めることができる、ゴール前に入りヘディングも決めてしまう……。セットプレーも蹴ることができて、しかも左でコーナーキックを蹴ったり。フリーキックも右足で決めていましたね。なかなかああいったプレーヤーはいないです」
谷川の活躍は代表でも現れていた。2023年の女子ワールドカップ(W杯)にトレーニングパートナーとして同行。同年末に行われた国際親善試合のブラジル戦で、なでしこジャパンに初招集された。当時高校生としてピッチに立った際も話題に挙がったが、24年7月のパリ五輪グループリーグ第2節ブラジル戦(2-1)の決勝ゴールとなった、約25メートルのロング弾でさらに世界へ衝撃を与えている。
太田氏が谷川を認知したのは、そのブラジル戦のスーパーゴール。だが最近、ふと見た動画に登場した小学生が、幼き頃の谷川だったという。「グランパスみよし(名古屋グランパススクール)にいて、男の子に交じってかなり抜けている存在でしたね。ボールのもらい方にしても、身体の向きとか、ボールを置く位置とか。すげえな、と思っていたら谷川さんでした」と当時から示していた才能に驚いたようだ。
そんな太田氏は、谷川の凄さを「アジリティー」の部分だと考察する。
「スウェーデンだと東欧の屈強な体格の大きい選手に対して、日本人のアジリティーはかなり生きる部分ではあるのですが、谷川選手はその中でも抜きんでていますよね。また、あれだけのものを持っているのに、変なエゴがない。周囲をしっかり使いながら自分も生かすことができる。本当にサッカーIQの高い選手だなと感じています」
現在もバイエルン女子チームが保有権を持つ。そのなかで「あれだけの活躍をしたら、おそらくバイエルンとしても手元に置いてみたいと思うだろうし、1シーズン目としてはかなりセンセーショナルな活躍、印象を残したんじゃないでしょうか」と、太田氏も感心している。
「澤穂希さんがバロンドールを獲って以降、日本人はいないですから。可能性があるというか、期待できる選手なんじゃないでしょうか」
まだ19歳。名古屋から欧州へはばたいたなでしこ戦士が“世界一”の選手になるかもしれない。大きなポテンシャルから、さらなる進化を期待できる。元日本代表DF太田氏も衝撃を受けた谷川の活躍から、今後も目が離せない。
太田宏介
太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。