日本代表OBが驚嘆…「凄いの一言」「探してもいないタイプ」 中国戦出場16人で群を抜いた2選手
【専門家の目|金田喜稔】町田は「最終予選で最も成長している1人」
森保一監督が率いる日本代表(FIFAランキング15位)は11月19日、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第6戦で中国代表(同92位)と対戦し3-1の勝利を飾り、W杯出場に王手をかけた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、この試合に出場した日本代表の16選手を5段階(5つ星=★★★★★が最高、1つ星=★☆☆☆☆が最低)で採点した。
◇ ◇ ◇
<GK>
■鈴木彩艶(パルマ)=★★★★☆
相手のCK(コーナーキック)では、動けないように周囲に人が固まっていたが、そのなかでも上手くハイボールに対応していた。このまま守護神として成長していくと改めて感じた。
<DF>
■板倉 滉(ボルシアMG)=★★★☆☆
CK時の1ゴールは準備と反応の鋭さが光った。一方、サイドから仕掛けられた時のカバーにやや不安が残る。危ない場面を何度か作られ、失点では陣形が大きく乱れた。
■町田浩樹(ユニオンSG)=★★★★☆
やはり安定感があり、最終予選で最も成長している1人。ビルドアップ時にパスコースを見つける速さが際立つ。狭い場所にもパスを通せる技術があり、コースが見えている。さらにドリブルで持ち上がることもできるのは大きい。
■瀬古歩夢(クラブ・チューリッヒ)=★★★★☆
久しぶりのA代表となったが、もともとフィジカルやヘディングが強く、上手くアピールできた部分はある。失点場面は、個人での対応は難しい局面だったか。全体的に見れば評価に値する対応を見せていた。
■橋岡大樹(ルートン・タウン)=★★★☆☆(←後半32分IN)
右ウイングバックながら、いつでも4バックにできる形でバランスを取りながらプレー。左サイドとのバランスも意識しながら、相手に追加点を与えずに勝利に貢献。与えられた役割を遂行した。
すべてが高水準の遠藤、久保は「『ボールを寄こせ!』というアクションも」
<MF>
■田中 碧(リーズ)=★★★★☆
後半はゴール前にも顔を出すなど積極性も示し、交代選手とも上手くバランスを取りながら試合を支配。時間とともに、高い位置で絡むという持ち味を見せて攻撃に厚みを加えていた。
■遠藤 航(リバプール)=★★★★☆
失点場面では珍しく身体を張り切れずに突破された。しかし、それ以外の場面では見事な読みを見せてピンチの芽を何度も摘んでいたし、身体の入れ方やぶつけ方、ボール奪取後の推進力、ボールの散らしなどすべてが高水準。
■伊東純也(スタッド・ランス)=★★★★☆(→後半32分OUT)
全体を通して見れば、ドリブルで仕掛ける際のわずかなミスも散見したが、絶妙なアシストは圧巻。あの3点目のクロスで勝負が決し、決定的な仕事をやった点を高く評価したい。
■中村敬斗(スタッド・ランス)=★★★☆☆(→後半19分OUT)
チーム全体の問題ではあるものの、縦に仕掛ける形まで持ち込めなかった。何度か中に切れ込んでシュートも放ったが精度を欠いたし、安易なパスの取られ方も散見。これまでのように脅威を与えたとは言えないか。
■三笘 薫(ブライトン)=★★★★☆(←後半19分IN)
相手も相当警戒していたし、攻め切る形、仕掛ける形まで持ち込むのが難しかった。そう簡単に抜かせてもらえないし、クロスやドリブルから決定的なシーンも作れなかった。
■久保建英(レアル・ソシエダ)=★★★★★(→後半39分OUT)
個人技で打開してシュートを打ち、CKからアシストをマーク。1点に近い働きを十分見せた。「ボールを寄こせ!」というアクションも見られたし、コンディションがいい証拠。あれだけ仕掛ける速さがあり、巧みなボールタッチでバランスを崩さず、複数の選択肢が常に見えている。探してもいないタイプ。
■前田大然(セルティック)=※出場時間短く採点なし(←後半39分IN)
終盤、左サイドでスピードを生かしたボール奪取から絶妙なクロス。結果的に中央で合わなかったが、あと一歩でゴールという場面も作り出した。
「ボールを持った時の落ち着き」が際立つ鎌田、小川は「この日1番の出来だった」
■南野拓実(ASモナコ)=★★★☆☆(→後半19分OUT)
今日はシュートまでが遠く、なかなか自分の形に持ち込む場面がなかった。スペースもあまりなく、相手に上手く守られた感もある。アタッキングサードで仕事を十分にこなせなかった。
■鎌田大地(クリスタル・パレス)=★★★★☆(←後半19分IN)
ボールを持った時の落ち着きは群を抜く。オフ・ザ・ボールの時にチームを動かす力も光る。ボールの受け手にもなれば、おとりになってスペースを作り周囲を生かすこともできる。ボールを持っていても持っていなくてもチームのリズムを作れる貴重な存在だ。
<FW>
■小川航基(NECナイメヘン)=★★★★★(→後半32分OUT)
圧倒的な得点率。凄いの一言。試合を重ねるごとにフィットし、自らの存在価値を高めてきた男がこの日は見事2ゴール。自分のストロングポイントを周囲が理解し、生かしている点も大きい。苦しい展開のなかで2ゴールはエース格の働き。この日1番の出来だった。
■古橋亨梧(セルティック)=★★★☆☆(←後半32分IN)
鋭い反応を見せた場面もあり、タイミング良く相手の背後を狙う動きも披露。古橋の狙いと周囲の意識は以前よりも確実に合っており、ゴールの匂いは感じさせた。定位置を狙うには今後結果を出し続ける以外にない。
(金田喜稔 / Nobutoshi Kaneda)
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。