日本人MFが「世界のトップレベルに」 欧州で“無双”状態も…代表OBが指摘「苦しい時はある」【見解】
【専門家の目|栗原勇蔵】バルセロナ戦の久保の活躍に言及
日本代表の23歳FW久保建英は、スペイン1部レアル・ソシエダで中心的なアタッカーとして活躍中だ。現地時間11月10日に行われた首位バルセロナとの第13節。MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に輝いた久保は「世界のトップレベルになる選手」と、元日本代表DF栗原勇蔵氏も改めて絶賛の言葉を送っている。
スタメンに名を連ねた久保は、古巣相手を切り裂くパフォーマンスを披露。前半30分、味方のパスを受けて右サイドで仕掛けの姿勢を取る。守備陣2人の間を突破するカットインで切り込んだ。高速のダブルタッチも駆使してシュートまでもっていったが、惜しくもボールはGKに阻まれている。
試合を通し高いパフォーマンスを維持した久保は、バルセロナ撃破の立役者に。試合のMOMにも選出されている。栗原氏も「今バルサは世界一強いくらいのレベルというか、調子の良さだと思っています。その相手にああいうプレーができる。もう相手の実力どうこうじゃない感じがします」と古巣戦の久保のプレーに衝撃を受けたことを明かす。
「メッシとかもそうですけど、タッチがまず細かい。そうすると、スペースなくても自分のゾーンに入ると、もう止められないんです。相手が何人いても自分の道筋が見える時は、無双しちゃうと思うんですよ。相手が何人いても関係ない。リズムが相手と合うと、人数かけられてもいくらでもなんでもできてしまいます」
ただ絶賛した一方で、代表戦などで苦戦する場面には理由があると栗原氏は考察する。
「逆に代表で格下相手にそういった場面があまり見られないのは、対策を練られているからです。カットインしても敵が来て、なかなか剥がせない。そういう戦術を立てられると、ちょっと苦しい時はあるとは思います。そういうことを代表の国際マッチで相手はやってくると思います。正直バルサとかだと、もう自分たちのスタイルだからそこまでやってこないですよね」
そんな久保は、現地時間11月15日に日本代表の一員として2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のインドネシア戦(ジャカルタ)を控えている。栗原氏は「ある意味、格上相手の方が活躍するイメージはありますね。できる時とできない時の差が激しいとも言えます。その波がなかったらもう世界一、本当に世界のトップレベルになる選手なのかなと思います」と、久保にさらなる成長を期待していた。
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。