欧州3部→1部で日本人が躍動「ようやく勝負」 王者から殊勲弾…代表OBが絶賛「難しい角度」【見解】

ボーフムで活躍する三好康児【写真:Getty Images】
ボーフムで活躍する三好康児【写真:Getty Images】

【専門家の目|栗原勇蔵】ボーフムで活躍の三好康児に注目

 MF三好康児は今夏にイングランド3部バーミンガムからドイツ1部ボーフムへとステップアップの移籍を果たし、王者レバークーゼン戦では待望の移籍後初ゴールをマークした。元日本代表DFの栗原勇蔵氏は「代表に入ってもらわないと困る選手」とその活躍に熱視線を送っていた。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 三好が加入したボーフムは今季開幕から勝ち星がないまま最下位に沈んでいる。そうしたなかで迎えた第10節では王者レバークーゼンと激突。前半のうちに失点し、0-1のまま終盤を迎えて敗色濃厚となったなか、後半24分から途中出場した三好は終了間際に貴重な同点ゴールを決めてチームに貴重な勝ち点1をもたらした。

 栗原氏は三好のゴールについて「難しい角度から利き足と逆の右足で、いい時間帯に追い付いて、相手も強いレバークーゼン。負けたくないという気持ちで、最後の最後、途中交代で出た康児が殊勲のゴールを入れた。レバークーゼンは、本当に強いですからね」と語ったうえで「アジリティというか、ドリブル、パス両方できるし、ゴールも取れるしアシストもできる。攻撃的な選手なんですけど、試合も組み立てられる」とその多才な能力を絶賛した。

 三好はJリーグで活躍後、ベルギー、イングランド、ドイツと欧州クラブを渡り歩いてきた。栗原氏は「日本で若い時から活躍して、いろいろ移籍もして、本当に1つ1つステップアップしていった。海外に行っても、いきなり1部じゃなくて、いろいろなチームを回って、ようやく1部で勝負できるところに来た。ベルギーは1部でしたけど、まずイングランドに行くこと自体がたぶん難しい。そこで2部とはいえ活躍して、そこから今度はドイツの1部に行った。ボーフムでは浅野(拓磨)の活躍もあって日本人の評価も上がっていたと思うし、そこに三好康児がポジションは違うとはいえ、獲得の経緯もあるのかなと」と着実にステージを上げて戦う三好の成長を評価した。

 森保一監督率いる日本代表からは遠ざかっているものの、「康児も持っているものとしては、代表に入ってもらわないと困る選手なので。まだ若いですし、ステップアップは確実にしている。いろいろなところで経験しているのは大きいと思うし、ましてやベルギー、イングランド、ドイツと違う国で活躍するのは、大変なことだと思う」とその成長ぶりを称え、代表に入れるポテンシャルは十分と話した。

 三好が得意とする2列目は森保ジャパンの中でも最も競争が激しいセクション。栗原氏は、「(起用するなら)トップ下か右だと思います。個人的にはトップ下のほうがいいのかなとは思いますけど、右はダブついていますし。面白いんじゃないかなと思います。味方も使えるし、自分でもいけるし」と久保建英(レアル・ソシエダ)や堂安律(フライブルク)らタレント揃いの攻撃陣に新たな風を送り込むオプションとして27歳のレフティーに期待を寄せていた。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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栗原勇蔵

くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

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