スペイン代表でさえも「対応は難しい」 久保建英がバルサ守備を切り裂けた要因【見解】
【専門家の目|太田吉彰】ドリブルの“緩急”に注目「あれだけ緩急をつけられると」
レアル・ソシエダの日本代表MF久保建英は現地時間11月10日に行われたバルセロナ戦でマン・オブ・ザ・マッチに輝く活躍を見せた。得点こそ奪えなかったものの、再三の仕掛けでバルセロナの守備陣を翻弄。元日本代表の太田吉彰氏は世界最高峰のクラブを大混乱に陥らせた久保の“武器”が、前半21分に仕掛けたドリブルにあったと指摘した。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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両クラブ、スコアレスで迎えた前半21分、久保がバルセロナの左サイドを1人で切り崩した。ボールを持つと、スペイン代表DFイニゴ・マルティネスと対峙。ペナルティエリア付近で一度、スピードを緩めてマルティネスとの間合いを計ると、再び急加速してゴールライン方向への突破を図った。わずかにかわすと、すぐさま中央へ高速クロス。味方には合わなかったものの、決定機を作り出した。
このスペイン代表DFをも翻弄したドリブルを太田氏は「緩急で完全に相手を揺さぶっていましたね。ゆっくりから早く、早くからゆっくり、というのをうまく使い分けている。ボールの置き所も相手の足が出せない、なおかつ自分が先にボールに触れられる、いい位置に常にボールを置いている。なかなか足が出せない」と分析。いくらスペイン代表のマルティネスであれ、対応するのは難しい、という。
「ルックアップして、相手のディフェンダーがもう1人(同代表DFアレハンドロ・バルデ)下がってきているのも分かっているはず。あのままトップスピードで行くと、挟まれたり、体を入れられてしまうので、一度あえて相手に追い付かせて、スピードを落とさせて、間合いを作っている。あれだけ緩急をつけられると、ディフェンスはなかなか足を出しにくい。左で持っているのでサイドに追いやることもできず、体は常にゴール方向を向いているので、あれをやられると守備の対応は難しいでしょうね」
この試合の久保は何度もドリブル突破を仕掛け、バルセロナの守備陣を翻弄した。チームは前半33分、FWシェラルド・ペッカーのゴールで先制し、そのまま1-0で逃げ切り勝ち。太田氏の分析通り、バルセロナ守備陣も、久保の対応に手を焼いていたことがわかる試合だった。
太田吉彰
おおた・よしあき/1983年6月11日生まれ、静岡県出身。ジュビロ磐田ユース―磐田―仙台―磐田。J1通算310試合36得点、J2通算39試合4得点。トップ下やFW、サイドハーフなど攻撃的なポジションをマルチにこなす鉄人として活躍した。2007年にはイビチャ・オシム監督が指揮する日本代表にも選出。2019年限りで現役を引退し、現在はサッカー指導者として子どもたちに自身の経験を伝える活動をしている。