恩師を越えた「父親みたいなもの」 元日本代表、4クラブで共闘した外国人監督との関係性「常に連絡」【インタビュー】
長谷川アーリアジャスールが、4クラブで共闘してきたポポヴィッチ氏を語る
ガイナーレ鳥取の元日本代表MF長谷川アーリアジャスールは、11月7日にクラブを通じて、今シーズン限りで現役引退を発表した。プロ生活18年間、最も多くの時間をともに過ごした恩師に、ランコ・ポポヴィッチ氏がいる。本人も「父親のよう」と表現するポポヴィッチ氏とは「今も連絡を取っている」と話すほどだ。今回は、そんな親しき2人の間柄に迫る。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也)
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長谷川がポポヴィッチ氏の指導を初めて受けたのは、2012年に加入したFC東京時代だ。横浜F・マリノスから移籍した長谷川を、スタメンに定着させた人物でもある。「僕の父親みたいなものですよ」と親しき関係性を築いてきた長谷川は、ポポヴィッチ氏のどういった部分に尊敬を抱いているのか。
「まず自分がやりたいサッカーとすごくマッチしていたというところは大きかったです。ポポさんがよく言っていたのは、『常にその時の全力を出せ』というところ。100%出せるなら100%、今日は80%なら80%ちゃんと出す。要はその日持っているものをすべて出し切れというのはよく言っていて、これって長くやったり続けることに対して凄く大事な要素だなというのも感じたりはしていました。人間どうしてもだれてしまうことはあります。毎回いいパフォーマンスができるということはない。その日の自分を出し切ることが次につながるとはよく話していましたね」
今もその経験は生きていると語る長谷川。「90分出るやつが凄いわけではないですし、残り5分だろうが10分だろうが、与えられたポジションの与えられた場所で、何ができるかというところにフォーカスしろってよく言われていましたね」と、選手へのリスペクトやマネジメントの点でも大きな影響を受けていることを明かした。
「そういうところも含めて、ポポさんのおかげで今の自分のサッカーの幅が広がったなというイメージはありますね」
FC東京でポポヴィッチ氏に評価されると、その後もセレッソ大阪、スペイン2部レアル・サラゴサ、FC町田ゼルビアの3つのクラブでともに戦う。指揮官も、長谷川を重宝した。
「それだけ一緒のチームに行っていることが関係性を物語っていると思います。今も常に連絡も取っていますし、この前のオフにも会いました。一緒にサッカーをやれて、僕を色々なチームに呼んでくれて、必要と言ってくれる存在というのはすごく大きかったです。ポポさんのやりたいサッカーというのは僕のなかでも通じるものがあったからこそ、こういう関係になれたと思っています」
ポポヴィッチ氏は今シーズン、鹿島アントラーズ指揮官の職に就いたが24年10月6日に契約解除。現在はフリーの状態だ。「何よりも、僕はポポさんの指導の下で成長できました」と最大限の恩義を感じている長谷川にとって、文字通り「恩師」という存在。36歳となった長谷川が示す18年というキャリアの長さは、ポポヴィッチ氏が残した功績の1つでもあるはずだ。
[プロフィール]
長谷川アーリアジャスール(はせがわ・あーりあ・じゃすーる)/1988年10月29日生まれ、埼玉県出身。横浜FMユース―横浜FM―FC東京―C大阪―レアル・サラゴサ(スペイン)―湘南―大宮―名古屋―町田―鳥取。元日本代表。J1通算251試合17得点、J2通算97試合14得点、J3通算33試合3得点。持ち前のパスとドリブルを駆使しチャンスを演出する。22年シーズンで町田を契約満了となりフリーとなっていたなか、23年4月に鳥取に加入。翌年8月からは副キャプテンに就任し、チームを支えていた。24年11月に今季限りでの現役引退を発表している。