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「もう一回挑戦しよう」 槙野監督が言葉詰まらせ…“熱い男”が第2の人生で目指す昇格の夢
槙野監督が率いる品川CCは、EDO ALL UNITEDに1-2の逆転負け
元日本代表DF槙野智章氏の姿は、山梨にあった。11月2日の第58回関東社会人サッカー大会の第1回戦。神奈川県1部リーグ3位の品川CC(カルチャークラブ)を率いる監督として、東京都1部リーグ1位のEDO ALL UNITEDとの一戦で声を張り上げる。後半アディショナルタイムに2失点し、1-2と劇的勝利を相手に明け渡したなか、指揮官は試合後のミーティングで言葉を詰まらせる場面もあった。
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2023年2月、品川CCのテクニカルアドバイザー兼セカンドチーム監督の就任。24シーズンからはトップチームで指揮を執る。長年Jリーグ、日本代表としてもキャリアを積んできた槙野氏は、指導者として悩み、もがきながら今季神奈川県1部リーグを3位でフィニッシュ。関東2部リーグ昇格を懸けた大会に挑んだ。
試合前までは姿をあまり見せず、静かにアップを見守る槙野監督。前日の怪我でベンチ外となった元JリーガーのMF太田吉彰と話し込む場面もあった。だがいざ試合が始まると、“お祭り男”の熱い言葉がピッチを飛び交う。雨の降る悪天候で行われた試合のなか、何度も選手の名前を呼んでは「ナイス!」「もっと行こう!」といった激励を飛ばした。
押し込まれる展開があれば、その都度修正の指示をかけチームをまとめる。対戦相手のEDO ALL UNITEDは元日本代表MF本田圭佑が発起人となったクラブで、注目度の高い一戦にもなっていた。ロングボールで前線を狙い、こぼれ球からチャンスを伺う。シンプルで無駄のないサッカーを展開する品川CCは、ピッチの水たまりに苦戦しながらも、自分たちの展開にしようと球際で負けない姿勢を見せた。後半にその結果が結びつく。
後半29分、コーナーキックのチャンスからMF松浦拓弥のボールにDF福田友也が合わせ先制。終盤まで無失点で試合を進める品川CCが一回戦を突破したかに思われた。しかしアディショナルタイム3分に痛恨のハンドで取られたPKで失点。その3分後にはこぼれ球を拾われ強烈な一撃を見舞われた。直後のタイムアップ。惜しくも勝利を手にすることができなかった。
サポーターに挨拶を済ませ、試合後のミーティングに入る品川CC。もちろん槙野監督がメッセージを届ける。「今年で一番いい試合だった」と選手たちを称えた指揮官だったが、途中で言葉を詰まらせてしまう。涙をこらえるように、ゆっくりと間を置く。「もう一回やろう。もう一回挑戦しよう」。そう切り替えた槙野監督が話し終えると、サポーターからもう一度“品川コール”が届けられた。熱い男の気持ちがあふれた瞬間。その思いはきっと、選手、コーチ陣、サポーターそれぞれに伝わっているはずだ。
(FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也 / Kenya Kaneko)