ルヴァン杯、名古屋が3年ぶり優勝 3-3でPK戦の歴史的死闘…大会最多6万2517人が大歓声
新潟は2度追いつく意地を見せるも、悲願の初タイトル目前で涙
国内三大タイトルの1つであるルヴァン杯は11月2日、国立競技場で決勝戦が行われ、両者譲らぬ激闘はPK戦の末に名古屋グランパスがアルビレックス新潟を下して3年ぶりの優勝を果たした。
2021年大会以来2回目の優勝を目指す名古屋は、マンツーマンをベースにしたプレッシングとショートカウンター。クラブ史上、初の主要タイトル獲得を目指す新潟は徹底した後ろからのポゼッションと対照的なスタイルの対決になった。曇天で時に雨もぱらつく中、チケット完売でルヴァン杯史上最多となる両チームのサポーター6万2517人が集結したスタジアムでキックオフされた。
序盤から両チームが持ち味を出す中で、前半12分に新潟はFW小野裕二がゴール正面から際どいミドルシュートを放ったが、今季限りでの退団が決まっている名古屋の主将GKミッチェル・ランゲラックがファインセーブで弾き出した。
そして試合が動いたのは前半31分、新潟が最終ラインのポゼッションでGK阿部航斗が短くつないだパスが味方に合わず、プレッシングに来ていた名古屋FW永井謙佑がダイレクトで蹴り込んだ。新潟のミスを突いて名古屋が狙い通りの形でゴールを奪った。さらに前半42分、名古屋はペナルティーエリア内でMF稲垣祥がハイボールに競り勝つと、MF和泉竜司がゴール前で短いパスを選択。これを受けた永井が冷静に蹴り込み、名古屋が2-0とリードを広げて前半を終えた。
後半も立ち上がりは新潟が攻勢に出てチャンスを作った。後半12分には左サイドからのクロスをMF太田修介が頭で落としたところにDF藤原奏哉が走り込んでシュートを放つ決定機を迎えたが、ボールはクロスバーを大きく越えてしまった。
新潟の松橋力蔵監督は後半20分に3枚替えを決断。6得点で大会得点王をほぼ確実にしているFW長倉幹樹らを送り込んだ。すると後半26分、途中出場のMFダニーロ・ロペスが右サイドでドリブルで相手を外して左足クロスを入れると、逆サイドからMF谷口海斗が中央に飛び込んでヘディングで反撃のゴールを決めた。
残り時間も新潟が猛攻を仕掛ける展開になった。そして後半アディショナルタイムも5分が過ぎたところで、ペナルティーエリア内で途中出場の新潟FW小見洋太が名古屋MF中山克広との接触プレーで倒れる。当初はノーファウルの判定もビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入し、オンフィールドレビューの末に判定がPKに変更され、新潟が千載一遇の同点チャンスを得た。これを小見が自らゴール右に決め、劇的な同点ゴールで決着は延長戦に持ち越された。
延長戦へ向け名古屋の長谷川健太監督はMF山中亮輔とFWキャスパー・ユンカーを投入。すると延長前半3分、山中のクロスにユンカーが競った背後にこぼれたボールを中山が蹴り込んで3-2の勝ち越しゴール。PK献上のショックを払しょくする一撃を決めた。それでも新潟は延長後半6分、長倉のスルーパスに抜け出した小見が再びの同点ゴールを決めた。激闘は3-3の同点でPK戦にもつれ込んだ。
PK戦では先攻の新潟が2人目の長倉が枠外に外し失敗。一方の名古屋は2人目で自ら決めたランゲラックを含め5人全員が決め、PK戦のスコア5-4で勝利。3年ぶり2回目の頂点に輝いた。