相手監督も大絶賛…思わず「いい選手」 FWから転向の29歳、古巣に見せつけた“覚醒”
鹿島が“天敵”川崎に快勝、知念慶が古巣相手に躍動
鹿島アントラーズは11月1日、J1リーグ第35節で川崎フロンターレとのアウェー戦に臨み、3-1で快勝した。川崎の本拠地「Uvanceとどろきスタジアム」での勝利は2015年8月以来、9年ぶり。その立役者の1人となったのが、2022年に川崎から鹿島へ移籍し、今季から本職のFWからボランチへコンバートされたMF知念慶だった。古巣相手に躍動した29歳は「ボランチは合ってるなと思う」と手応えを語った。
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試合後、アウェーチームのロッカールームに歓喜の雄叫びがこだました。長きに渡り辛酸を舐めてきたスタジアム。負のイメージは一瞬にして消えた。出足の鋭いプレスで圧をかけ、球際の勝負で後手を踏まずことごとく制す。闘う姿勢を前面に出し“鹿島イズム”を体現した選手たちを、中後雅喜監督は試合後「ハードワークしてくれた」と称えた。
2015年8月以来、リーグ戦で勝利がなかった敵地での一戦。相性の悪さが際立つなかで、前半30分までに3ゴールを挙げる予想外のスタートとなった。鹿島に流れを呼び込んだのは知念だった。前半10分、右サイドからMF柴崎岳が放り込んだクロスに迷わずゴール前へ。誰よりも高く飛んだ頭に当てたシュートがゴールへ突き刺さった。
「お世話になったクラブに成長した姿を見せたいなとは思っていた。ゴールという形で取れて良かったです」。古巣との一戦で決めた“恩返し弾”は、川崎時代のFWとしてではなく、ボランチとして決めた。今季から新たに挑戦したこのポジションで強度の高い守備を効果的に発揮。J公式データによると、デュエル勝利数(118回)はリーグ最多(10月31日時点)で、もはや本職と言えるほどその存在感は際立つ。
精神力の高さも特筆すべきだろう。川崎戦では前半早々、相手FW山田新との接触プレーで右膝の裏側を傷める場面があった。前半10分の先制点後、一度治療のためピッチ外へ。途中交代もあり得たが、それでもメディカルによる応急措置を受けてピッチへ。後半序盤の接触プレーで再び右膝の裏側を傷めて交代を余儀なくされたが、59分間タフに戦い続ける闘争心を示した。
「内側をちょっと痛めているんで、それがちょっとまた悪化したぐらい。そんな酷くはないんで大丈夫です」。怪我の状態を気丈に語る知念の成長ぶりに、古巣の鬼木達監督も「どんどん良くなってる。ボランチでありながら勝負できるのは彼の強み。良い選手になっている」と、敵チームながらその姿を評した。
本職はFWだが、今はボランチとして勝負したい気持ちが強い。「FWをやりたい気持ちも多少あるけれど、今シーズンボランチずっとやってきて自分の特徴だったり、性格的にもボランチは合っているなと思う。ボランチで行きたいなと思います」。新境地を切り開き、大きく飛躍を遂げた29歳はさらなる進化へまい進する。
(FOOTBALL ZONE編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto)