口々に溢れた感謝「彼に対する思いは人一倍強い」 名古屋がルヴァン杯を譲れない理由
主将のランゲラックが今季限りで退団、長谷川監督「最高の形で送り出せれば」
国内三大タイトルの1つであるルヴァン杯は11月2日、名古屋グランパスとアルビレックス新潟の決勝戦が行われる。長谷川健太監督の前日記者会見では、今季限りでの退団が決まっている名古屋の主将、ランゲラックに対する思いが語られた。
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ドイツ1部ブンデスリーガの名門ボルシア・ドルトムントなどに所属し、元日本代表MF香川真司とはチームメートとして過ごした。オーストラリア代表として2014年ブラジル・ワールドカップ(W杯)のメンバーにも選出され、18年に名古屋へ加入。それ以来、正GKの座をずっと守り続けて大きな存在感を放ってきた。そして今季には主将にも就任し、チーム内の誰もが信頼を寄せる存在だ。
しかし、7月末に今季限りでの退団が発表された。移籍先のクラブはプロキャリアをスタートした母国のメルボルン・ビクトリーだとすでに発表されていて、その公式サイトには「家族にとっても自分自身にとっても、今が故郷に戻る正しいタイミングだ」とのコメントを寄せていた。
2022年に就任した長谷川監督は「今シーズンは何が何でもタイトルとスタートして、なかなか上位争いができずに天皇杯も負けた。ルヴァン杯に懸ける思いはどのチームよりもある。難しい相手の対戦の中でも、ルヴァン杯を通じてチームがたくましくなった。そして、シーズン中にはミッチ(ランゲラックの愛称)が今シーズン限りという話も出て、このルヴァン杯で最高の形で送り出せれば」と会見で触れた。
また、2021年にルヴァン杯を制した当時の大会MVPで、昨季までは主将を務めていたMF稲垣祥は「彼に対する思いは人一倍強い。グランパスに残してくれたものへの感謝を忘れないし、JリーグであれだけのGKと一緒にプレーできる経験はそんなにできないもの」と話す。今季は副主将としてランゲラックを支えただけに、再び優勝カップをともに掲げたい思いは強い。
ランゲラック自身は「もちろん、こういうことを言ってもらって嬉しい。ただ、自分のためではなくチームの一員としてカップを掲げたい。この会場に来たいと思っているサポーターの中に、来られなかった方もいると思う。何が何でもカップを掲げて名古屋に持ち帰りたい」という思いを話した。
サッカーにおいて外国人がプレーするのに最も難しいポジションとも言えるGKとして確かな実力を見せ、ルヴァン杯を制した2021年にはリーグのベストイレブンにも輝いた。彼のプレーが今季限りで見られなくなるのはJリーグにとって惜しいことだが、タイトルを置き土産として偉大な歴史に新たなページを刻むことができるだろうか。
(FOOTBALL ZONE編集部)