トップ昇格ならず→大卒J入りも逃す “アマチュア”から這い上がったストライカーが狙う史上初

長倉幹樹はルヴァンカップ決勝でもゴールを決められるか【写真:徳原隆元】
長倉幹樹はルヴァンカップ決勝でもゴールを決められるか【写真:徳原隆元】

ルヴァン杯決勝進出は「全くイメージしていなかった」

 国内三大タイトルの1つであるルヴァン杯の決勝戦が11月2日、国立競技場で行われる。アルビレックス新潟と名古屋グランパスが対戦する一戦に並々ならぬ思いをぶつける選手がいる。得点王が確実視される新潟のFW長倉幹樹だ。前日練習を終えると「下からでもここまで来られる証明にはなっていると思うけど、優勝すればさらに証明できる」と熱い思いを吐露した。

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 松橋力蔵監督に率いられて3シーズン目の新潟は、ポゼッションを重視した攻撃スタイルを確立してきた。その最前線で長倉は今大会、2位に3点差をつける6得点をマークしている。ただ、そのキャリアは紆余曲折あるものだった。埼玉県出身で、中学から高校までは浦和レッズの下部組織で過ごした。同期にはDF橋岡大樹やDF荻原拓也といったトップ昇格を勝ち取って現在は海外でプレーする選手もいるが、自身は昇格を果たせずに順天堂大へ進んだ。

 大学卒業後のJリーグ入りも叶わず、関東リーグ1部の東京ユナイテッドへ。最初の半年間でゴールを量産すると、浦和ユース時代の監督だった大槻毅氏が指揮していたJ2のザスパクサツ群馬からオファーが届いた。異色のキャリアで念願のプロ入りを果たすと、翌年夏にはJ1の新潟へと移籍。悔しい思いをしたところから、驚くべき勢いで上昇気流に乗った。

 新潟2シーズン目になる今季はリーグ戦でも出場を続け、さらにルヴァン杯では準々決勝のFC町田ゼルビア戦で4得点するなど、ゴールを量産してチームを史上初の決勝に導いた。キャリアの歩みを振り返り「下にいる時は(このような舞台を)全くイメージしていなかった。毎回、目の前の試合だけを見てきて、積み重ねでここまで来られたと思う」と話す。

 当然、大舞台でのゴールも期待されるが、「個人としては特にどういうプレーをしたいというのはなくて、チームで優勝するために頑張りたい。点は取れば勝ちにつながるので、それが自分だったらラッキーだな、くらいの感じで、チームで勝ちたい」と言う。このような考えが、今の新潟のスタイルに合致している部分も大きいのだろう。

 新潟としてはクラブ史上初タイトルの懸かる国立決戦。試合に合わせて新潟から東京へ向かう時間帯の新幹線が軒並み満席になったため、JR東日本が上越新幹線の臨時列車を増発させ「(新潟の人たちに)優勝を凄く期待されていると分かった」と思いも背負う。

 名古屋はマンマーク型のハイプレスからショートカウンターを狙う、新潟とは対極のスタイルのチーム。今季のリーグ戦では1勝1敗だったが、戦況はどちらかに大きく傾きやすい。名古屋の勢いをくじくためにも、長倉の一撃が決まるかどうかが試合のポイントの1つになりそうだ。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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