日本サッカーは「韓国と違う」 来日10年目のJ助っ人…語学上達は妻と友のおかげ【インタビュー】
キム・ミンテがJリーグで10年目、言語の壁も超え湘南の地で成長を続ける
湘南ベルマーレを支える最終ラインには、キャプテンの韓国人DFキム・ミンテの存在がある。2015年に日本へと渡り、Jリーグで10年目。「人間として世界が広がった」と自身の変化を感じ、さまざまな指揮官に影響を受けた経験を糧に、言語の壁も超えて湘南の地で成長を続けている。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也)
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キム・ミンテが日本にやってきたのは2015年、21歳の時だった。母国の大学から加入したベガルタ仙台で活躍しながら、U-21、U-22の韓国代表として世界との対戦も経験した。北海道コンサドーレ札幌、名古屋グランパス(期限付き移籍)、鹿島アントラーズと渡り歩き、23年夏に期限付き移籍で湘南へ。今季は完全移籍となり、山口智監督からキャプテンにも任命された。
普段のインタビューは通訳なしで対応し、日本語で言葉を紡いでいく。「インタビューをこうやって1人で受け答えできるようになったのは、たぶん3、4年目くらいですね」。来日1年目に独学でかなり語学の勉強に励んだものの、「自分で頑張りましたけど、1人部屋で机に向かっていても、上手くなれないな」と限界も感じたという。
「やはり外に出て1人旅じゃないですけど……色々なところに行って、人と話したり、サッカーの練習中にいろいろ喋ってみたりしたのはすごく今につながっています」
直接会話を交わすことが語学上達の秘訣。次第にそう実感していった中で、より向上させるきっかけとなったのは、札幌時代のチームメイト、そして妻の存在だった。
「僕は(Jリーグに来て)3年目で日本人の女性と結婚しています。札幌に移籍してから、仲が良かったのでプライベート含めよく同僚たちとご飯とかに行っていましたし、距離がぐっと近づきました。妻と、その札幌の選手たちと友達になれたのは凄く伸びる理由だったと思います」
今では会話も違和感なくこなし、語彙力も高い。それでも、キャプテンとなった今季は「自分はコミュニケーション能力に関してほかの日本人選手たち、今まで頑張っていたキャプテンたちより秀でてはいないです」と、“言葉の壁”の難しさとも戦い続けている。
日本と韓国で違い「技術のところで凄くこだわっている」
今年でJリーグ10年目を迎え「人間としていろいろ世界が広がったと思っています」と、自身の成長を実感。「自分は元々下手くそでした。日本は(指示が)細かいし、技術のところで凄くこだわっているところがあります。韓国とはちょっと違う。特にこの数年でJリーグはすごく成長していると思っています。自分はまだまだではあるんですが、技術面と判断の部分で、最初に来た時より成長したと感じています」と、受けた恩恵の大きさをしみじみと語っている。
数々の監督たちに師事し「ミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ)、マッシモ(・フィッカデンティ)、(岩政)大樹さん、今の(山口)智さんもそうですけど、優秀な指導者にいいタイミングで出会えたことは恵まれているなと。そんな指導者たちの教えを受けたことは、自分の人生で大きなこと」と与えられた環境下で出会えたことに感謝も述べていた。
湘南に来て1年以上が経ち、チームに欠かせぬキャプテンとして山口智監督の信頼も厚い。「球際や走るところなど、やはり湘南を上回るチームってなかなかないですね」とキム・ミンテ自身も実感し、その“スタンダード”にここまで適応してきた。主将としての強みを聞くと「特にないんじゃないかな」と笑うが、努力を続ける30歳の背中は、十分な存在価値を生んでいる。その影響力は確実にチームに浸透しているはずだ。
[プロフィール]
キム・ミンテ(キム・ミンテ)/1993年11月26日生まれ、韓国出身。福光云大(韓国)―仙台―札幌―名古屋―鹿島―湘南。J1通算199試合7得点。U-22、U-23韓国代表としても活躍。2015年に日本に渡り今季で10年目。強固なCB(センターバック)として数々のJクラブを経験。湘南では24年シーズンのキャプテンに任命され、チームを牽引している。
(FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也 / Kenya Kaneko)