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「なぜ水曜日に試合?」外国人監督が疑問視 過酷な61試合…負傷者続出で警鐘
横浜F・マリノスのハッチンソン監督「助けていただいてもいいのではないか」
強烈なSOSだった。横浜F・マリノスは10月30日に行われたJ1リーグ第35節の浦和レッズ戦に0-0で引き分けた。横浜FMは天皇杯準決勝のガンバ大阪戦(2-3)から中2日での強行軍となったが、相手に最後までゴールを許さなかった。
勝ち点1を積み重ねた横浜FMだが、ジョン・ハッチンソン監督は15連戦中のチームの過密日程が変更されなかったことに怒りを示した。試合後の記者会見で感想を求められたオーストラリア人監督は「試合の振り返りを言わせていただく前に」と切り出し「なぜ水曜日にプレーしなければいけないのか。なぜ金曜日、土曜日じゃないのか」と、会見をスタートさせた。
「J1で成績を残しているこのチームに対して、なぜ我々が水曜日に試合をしないといけないのか。金曜日でも、土曜日でも、良かったのではないかと思う。前回の試合は3日前に行われ、私たちは中2日でこの試合を戦わないといけなかった。2日前の天皇杯準決勝で120分を戦ったが『このタフなスケジュールのなか、パフォーマンスが良かったが惜しかったね』と言われた。アンデルソン・ロペスや38歳を迎える飯倉大樹は4日で210分戦った。選手たちに安全で、いいパフォーマンスをさせることを掲げているのであれば、配慮してもらってもいいのではないかと思う」
今シーズン、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)で決勝に勝ち上がったことを含め、ルヴァン杯、天皇杯も勝ち上がった横浜FMは、結果として試合数が増えた。すでに2024シーズンは、最多となる61試合をこなしている。
「この61試合が終わり、中2日での試合は15回、中3日の試合は30回ありました。自分は、この国がアジアでトップだと思っています。だからこそ、この(横浜FMの仕事の)オファーを受けたし、この国も、人々も、ここで行われているサッカーがどれだけ素晴らしいかも分かっています。この国のサッカーをアジアナンバーワンにするためにACLで優勝してほしいと願うのであれば、助けていただいてもいいのではないか。教えてほしい。なぜ、このスケジュールである必要があるのか」
過密日程を糾弾した指揮官は、それを黙々とこなしている選手たちを称賛し、試合を振り返った。
「ピッチに立つ選手、立っていない選手たちも本当に誇りに思う。この厳しいスケジュールでも、あきらめずに勝ちに行きました。その姿勢は本当に称えるべきものがあります。一人ひとりが、本当に戦ってくれているし、5分しか出場していない選手もいれば、210分戦った選手もいます。日曜日の天皇杯準決勝で悔しい敗戦を喫して、今日の試合に臨むために翌月曜日から選手を引っ張り出して練習をしないといけませんでした。それでもゼロで抑えられましたし、点を取るチャンスを作りました。勝てればもっと良かったですが、それだけでもこの試合は良かったと思います。今日の試合、一人ひとりが本当に大変なスケジュールのなかでも、本当によくやってくれたし、本当に誇りに思います」
キャプテンのMF喜田拓也やFWエウベル、DF松原健、GKポープ・ウィリアムら、多くの負傷者が出ている横浜FMだが、この試合中にもDF加藤蓮が前半6分に負傷し、交代出場したMF天野純も負傷でピッチを離れた。過密日程で多くの代償を払ったチームは、ようやくオフが与えられるという。
「明日から2日は完全にオフにしたい。選手たちをリフレッシュさせて、自分も含め、しっかり次の試合に向けていい準備をしたい」
欧州にはスペインのように試合開催日が土曜日か日曜日か、直前まで決まっていないリーグもある。電車が分単位で正確に駅のホームに着く日本では、同じようにリーグ戦の日程を流動的にすることは簡単なことではない。実際、今日の試合に駆け付けたファン・サポーターのなかにも、直前に日程が変わっていたら、この試合を見られなかったものもいるはずだ。解決すべきことは多くあるだろうが、今シーズン、多くのカップ戦で上位進出を果たした横浜FMは、より日本サッカーが良くなるための課題を示してくれたといえるだろう。
(河合 拓 / Taku Kawai)