掴んだチャンス…浦和の危機を救った日本人コンビ ホイブラーテンとは異なる“強み”

センターバックでコンビを組んだ(左から)井上黎生人と佐藤瑶大【写真:徳原隆元】
センターバックでコンビを組んだ(左から)井上黎生人と佐藤瑶大【写真:徳原隆元】

井上黎生人と佐藤瑶大の日本人センターバックコンビでゼロに抑えきった

 浦和レッズは10月30日、J1リーグ第35節の先行開催分で横浜F・マリノスとアウェーで対戦して0-0で引き分けた。主力のノルウェー人DFマリウス・ホイブラーテンが出場停止の中、日本人センターバックコンビでゼロに抑えきった。

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 ホイブラーテンは9月28日のヴィッセル神戸戦まで今季の公式戦全試合にスタメン出場していたが、その試合で負傷交代。顔面に相手の足が入ったことで骨折も含む重傷で10月1日に手術も行った。そのため、5日のセレッソ大阪戦ではDF井上黎生人とDF佐藤瑶大がコンビを組んだが0-1の敗戦を喫していた。代表活動期間を経てホイブラーテンは19日の東京ヴェルディ戦でフェイスガードを装着して強行出場での復帰を果たし、23日の柏レイソル戦では1-0の勝利に貢献した。しかし、その試合で累積4枚目のイエローカードを受け横浜FM戦が出場停止になっていた。

 そのため、今季の公式戦では2回目の井上と佐藤の日本人コンビが復活。強力な攻撃陣を擁する横浜FMと対峙した。キックオフされると、特にFWアンデルソン・ロペスへの対応にはコミュニケーションの良さが出たという。佐藤は井上と声を掛け合い、特にマイボールの時に切り替えのタイミングでロペスへの縦パスにアタックする選手とカバーリングを行う選手をハッキリさせながら対応した。

 また、C大阪戦からの変更点としては佐藤が左、井上が右に入って場所を入れ替えたこと。前任のペア・マティアス・ヘグモ監督が率いていた時から、紅白戦などでも彼らが組むときは佐藤が右で井上が左に入ることが多かった。しかし、左利きのホイブラーテンと組む際にはどちらの選手も右に入る。最近のゲームは井上の出場が多かっただけに、マチェイ・スコルジャ監督は試合への準備を始めるタイミングで両選手とコミュニケーションを取り、井上を右から動かさない決断を下したという。

 それは、両者にとって良い面を引き出した。佐藤は持ち前のフィード能力を生かし、右サイドまで飛ばすボールも使いながら前半には縦の背後へ供給してMF松尾佑介からの決定機を導いた。佐藤はこの組み合わせについて「黎生人君は左よりも右の方が得意だと思うし、僕は両方できる自信があるので、そこの組み合わせはうまくいったのかなと思います」と話した。

 そして、ホイブラーテンとの違いとしては相手のプレスを引き受けながらボールを動かすビルドアップでも貢献した。自身も「プレッシャーを受けてあげる選手は必要。プレッシャーを嫌がって受けないのは良くないし、僕は自信があるので、そこは僕が受けてあげて、1枚はがせれば他の選手が相手にプレッシャーをかけてくる。そうしたら、そこにいた選手がフリーになることもあるし、フリーなら運んで相手を引き出して出すところは今日、意識していた」と話した。

 シーズン開幕時点で、浦和にはホイブラーテンとデンマーク人DFアレクサンダー・ショルツの昨季J1最少失点を支えた北欧コンビが所属。井上は京都サンガF.C.から、佐藤はガンバ大阪からの移籍加入だが、壁が高いことを承知でやってきた。そのショルツが前半戦で負傷欠場した際には佐藤がチャンスをつかみ、6月に移籍して以降は井上がチャンスをつかんだ。そして、C大阪戦に続いて2人が同時にチャンスを得た試合だったが、無失点で自分たちの力と心意気を示すゲームになった。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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