古橋と旗手はなぜ森保Jで出番をもらえない? 代表OBが指摘する必要な要素とは【前園真聖コラム】
日本は最終予選で3バックを採用し3勝1分と好調
2026年アメリカ・カナダ・メキシコワールドカップ(W杯)のアジア最終予選を4戦終えて日本は3勝1分と無敗をキープしている。だがそんな好調なチームでも、森保一監督が選んだ選手を発表する時には「なぜあの選手を呼ばないのか」と疑問の声が上がり、試合が終わると「あの選手を使わなかったのはなぜか」という意見が国内外から噴出する。その「出番がもらえない」選手たちを元日本代表の前園真聖氏はどう見ているのか、聞いた。(取材・構成=森雅史)
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日本代表戦があると必ず話題になる選手たちがいます。1人は古橋亨梧(セルティック/スコットランド)。今シーズンも相変わらず好調でここまでのリーグ戦8試合に出て4ゴールを挙げています。神戸にいた時からずっとコンスタントにゴールを挙げ続けていて、この得点力が日本代表に生かせるのではないかと言われ続けています。
ただ、残念ながらこれまで日本代表では21試合に出場したものの、なかなか活躍することができませんでした。古橋が得意とする裏への抜け出しと味方のパスが合わないのです。日本代表は1回ごとに選ばれるメンバーが違います。その中ですぐに呼吸を合わせなければならないし、それがうまくいかない時でも1人でゴールを挙げなければなりません。それがうまくいかなかったというのが今、選ばれていない理由でしょう。
ですが森保一監督はそういう状態の古橋であってもこれまで何度もチャンスを与えてきました。今は古橋がプレーの幅を広げる時を待っているのかもしれません。また、呼ばれてもプレーの機会が少ない旗手怜央(セルティック/スコットランド)も「なぜ使わないのか」という話題の1人として挙がります。
旗手は今年開催されたカタールアジアカップ、2戦目のイラク戦では後半39分から、3戦目のインドネシア戦では先発して後半24分まで、そしてベスト16のバーレーン戦では負傷交代する35分までプレーしていました。攻撃面ではうまくフォローアップして味方選手を支え、守備面ではこぼれ球にいち早く反応してコースを限定するなど攻守両面において気の利いたプレーをしていたと言えるでしょう。何をやらせても安心して見ていられる選手です。
ところが現状では旗手を起用するポジションにはスペシャルな選手が2人以上揃っているのです。左のウイングバックなら三笘薫(ブライトン/イングランド)と中村敬斗(スタッド・ランス/フランス)がいます。トップ下やインサイドハーフなら、久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)、鎌田大地(クリスタル・パレス/イングランド)、堂安律(フライブルク/ドイツ)、南野拓実(ASモナコ/フランス)がいます。
ボランチで考えても遠藤航(リバプール/イングランド)と守田英正(スポルディング/ポルトガル)、田中碧(リーズ/イングランド)がいて、さらに鎌田も得意としています。
つまり出るところがないのです。ただ、どこをやらせても平均以上のことができる旗手ですから、監督としては常にベンチに入れておきたい選手であることは間違いありません。本人は「取り組んでいるのは数字の部分」と語っているようですが、出番が来た時に結果を出せれば、そのまま呼ばれ続けると思います。
それから2022年カタールW杯メンバーだった町野修斗(ホルシュタイン・キール/ドイツ)も招集されないことが不思議に思われる1人です。ここまでのリーグ戦8試合に出場して4ゴールを挙げています。同じ東京五輪世代だった小川航基(NEC/オランダ)が招集されて結果も残していることを考えると、町野にもチャンスを与えてほしいと思います。今はいろいろなポジションに年代を変えつつ新しい選手を入れているので、町野は誰を入れるかという順番待ちかもしれません。
もっとも、日本代表がこのまま好調を維持して2026年アメリカ・カナダ・メキシコW杯出場を決めたのなら、そこからはこれまで招集を見送っていた選手たちを呼ぶことができるようになります。この3人はその時チャンスをもらえるのではないでしょうか。そしてその1回限りになるかもしれないチャンスをしっかり捕まえなければ、次がないというのが代表チームです。
(前園真聖 / Maezono Masakiyo)
前園真聖
まえぞの・まさきよ/1973年生まれ、鹿児島県出身。92年に鹿児島実業高校からJリーグ・横浜フリューゲルスに入団。96年のアトランタ五輪では、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」などをチームのキャプテンとして演出した。その後、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)、湘南ベルマーレの国内クラブに加え、ブラジルのサントスFCとゴイアスEC、韓国の安養LGチータースと仁川ユナイテッドの海外クラブでもプレーし、2005年5月19日に現役引退を表明。セカンドキャリアでは解説者としてメディアなどで活動しながら、「ZONOサッカースクール」を主催し、普及活動を行う。09年にはラモス瑠偉監督率いるビーチサッカー日本代表に招集されて現役復帰。同年11月に開催されたUAEドバイでのワールドカップ(W杯)において、チームのベスト8に貢献した。