清水が昇格を果たせた訳 涙のプレーオフから1年…秋葉監督が語る「選手をタフにした」成功体験
清水は栃木に勝利しJ1昇格が決定
清水エスパルスは10月27日のJ2第36節で栃木SCと対戦して1-0で勝利。2位以内を確定させ、来季のJ1昇格を決めた。秋葉忠弘監督は「我慢強さや忍耐強さは非常についた」とチームの成長について話した。
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試合前時点で清水は勝利すれば間違いなく、引き分けでも他会場の結果次第でJ1昇格が決まる状態で迎えた。1万6476人の観衆を集めたゲームは栃木のホームながらスタジアムの半分近くを清水サポーターが埋める決戦ムードに包まれた。
前半3分にコーナーキックから失点したかという場面があったものの、相手のオフサイドにより救われた。そして後半5分にはコーナーキックのこぼれ球をDF住吉ジェラニレショーンが押し込んで先制した。その後も、追加点とはならなかったがゲームをコントロールしていた。しかし、残り10分を切っていた後半38分、途中出場のFW北川航也がファウルを受けた後に相手選手を蹴ってしまい退場処分になってしまった。
その後は、それまでの時間帯とは打って変わってピンチの連続になってしまったが何とか逃げ切った。秋葉監督は「数的不利になった後も最後までファイトして死守する、2つ目を取りにいくよりも耐えて逃げ切るという1つの思いに向かって最後までファイトしたからこそ逃げ切ることができたと思う。メンタル的にもフィジカル的にもタフになった」と、選手を称えた。
約1年前のJ1昇格プレーオフ決勝では、このままのスコアで逃げ切れば昇格という最後の最後で失点して追いつかれた。それだけに指揮官は「我慢強さや自分たちから崩れないこと、退場は反省だけど、がたがたいかずに負の連鎖を止めること。我慢強さや忍耐強さは非常についた。8試合ほど負けてしまったが24試合も勝った成功体験が選手をタフにしたと思う」と話した。
今季チームに加わったMF矢島慎也は、2016年リオデジャネイロ五輪の代表チームで手倉森誠監督のコーチを務めていた秋葉監督から指導を受けた経験を持つ。「リオ五輪の時はコーチだったけど、監督になると選手との距離感を変える人もいる中で、変わらずに同じだった。選手たちとしても、意見を交わしながらやってこられたと思う」と話す。
そして「リオ五輪の時も手倉森監督と秋葉コーチから『必要なことしか目の前では起こらない』と言われてきた。10人になったのも、このチームにとって必要なことだったと受け取っている」と、指揮官の人柄が伝わってくるような言葉があったことを話した。
熱い言葉を残す姿から「鬼軍曹」の印象も強い指揮官だが、選手と近い距離で接しながらチームの成長を促してきたことがJ1復帰という1つの結果につながったと言えそうだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)