「1、2か月は苦しかった」 苦悩脱出で大きな歓声へ…浦和27歳DFを支えた助っ人MFの“指示”

浦和の井上黎生人【写真:徳原隆元】
浦和の井上黎生人【写真:徳原隆元】

フル出場したDF井上が安堵の表情「チャレンジすると見えてくる世界が違う」

 浦和レッズは10月23日にJ1リーグ第25節の延期日程となっていた柏レイソル戦に臨み、1-0で勝利した。フル出場した27歳DF井上黎生人は、スタメン出場でのホーム初勝利とあって試合後には安堵の表情だった。

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 このゲームは8月7日の開催が予定されていたが、雷雨により中止になっていた。そこから浦和はペア・マティアス・ヘグモ監督からマチェイ・スコルジャ監督への交代を挟んだが、前の東京ヴェルディ戦まで4連敗と苦しんだ。この試合は、ともに勝ち点39で降格圏の直上で暫定16位と同17位に位置する重要度の高いゲームになった。

 井上は今季、京都サンガF.C.から移籍加入。シーズン開始当初はチャンスを掴めなかったが、6月30日のジュビロ磐田戦(3-0)で試合終盤の途中出場で浦和デビュー。その後はDFアレクサンダー・ショルツの移籍もあって少しずつ出場機会を掴んだ。しかし、9月のゲームではFC東京戦でオウンゴールがあり、東京V戦でも自分に近い選手にセットプレーからヘディングを決められた。ビルドアップの部分でも悩みが見えるプレーがあった。

 それでも継続起用となった柏戦、MFサミュエル・グスタフソンがスタメン出場すると最終ラインを前後してサポートするだけでなく、近くに寄ってきてボールを引き取らずビルドアップに参加してのプレーを井上に求めた。試合の序盤は怖がったような横パスからピンチを招く場面もあったが、横のプレーメーカーから「もっとドリブルで運べる」というジェスチャーも受けながら、試合の経過とともに縦パスを入れる場面も増えた。

 そして、柏の攻撃を良いカバーリングで弾き出して決定機を作らせないプレーもあった。ミスがミスを呼ぶ悪循環に陥っていたところから抜け出してきた感もあったが、本人もまた苦しい思いを抱えながらプレーしていたという。

「正直、ここ1、2か月は苦しかった。自分らしさも出せずに試合にも勝てない時期が続いたけれども、何かのきっかけで変わらなければいけないと感じていた。チャレンジすると見えてくる世界が違うと、改めて感じた。今日は縦パスも入れられたけど、弾んでしまったのもあったし、相手の気持ちを考えてプレーできるようになれば成長にもつながると思う。でも、回数は増やしていけたらと思う」

 浦和は試合終了間際にFWチアゴ・サンタナがPKを決めて大一番に勝利した。攻撃面での課題は残ったものの、井上にとっては浦和に加入してスタメン出場したホームゲームで初の勝利になった。試合後には浦和サポーターから大きな「井上コール」を受けていたが、この勝利の中でチームに良い影響を与えることができた。

 ホッとした表情を見せていた井上だが、次の横浜F・マリノス戦ではDFマリウス・ホイブラーテンが累積警告で出場停止のため、DF佐藤瑶大とのコンビが見込まれる。井上は「これまでマリウスがずっと助けてきてくれた。今回は僕らが貫録を持ってプレーするのが一番だと思う」と見据えていた。

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