欧州オファーなし→ブラジル挑戦で出場ゼロ 「難しい期間だった」逸材が味わった“苦い経験”【インタビュー】

アビスパ福岡でプレーする松岡大起【写真:(C) avispa fukuoka 】
アビスパ福岡でプレーする松岡大起【写真:(C) avispa fukuoka 】

アビスパ福岡の松岡大起、紆余曲折なキャリアを振り返った

 J1のアビスパ福岡でプレーしているMF松岡大起は、高校生の時からプロでも注目される逸材であった。その後、期限付き移籍先の海外では1年間出番なしなどの苦しい時間を過ごしたなか、これまでの紆余曲折なキャリアを振り返ってもらった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小西優介/全2回の1回目)

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 3歳の頃から兄の影響でサッカーを始めた松岡は、小学生と中学生は地元熊本のクラブチームに所属した。幼少期の頃から逸材の片鱗を見せており、「小さいコートでやっていたのと、前目のポジションだったのでゴールは一番決めていました」と語り、それゆえに「負けた時は死ぬほど悔しくて、負けた試合はほぼほぼ泣いていた」と振り返った。

 その後、高校に上がるタイミングでサガン鳥栖ユースに加入。高校2年生の2018年に2種登録され、6月の天皇杯でトップチームデビューを飾った。さらに翌年にはリーグ戦デビューを含む公式戦30試合に出場し、同年6月にクラブ史上初となる高校3年生でトップ昇格を果たした。

 それでもユース在籍時について「最初の頃、周りはそこまで期待していなかったと思います」と触れ、「1年、2年と経っていくうちにトップの練習に呼ばれ、いろんなものを吸収して成長していけた。そこで周りから『頑張ってね』と期待の声もかけられるようになった」と回顧している。

 鳥栖で3シーズン目を迎えていた2021年夏に清水エスパルスへ完全移籍。23年3月にはブラジルのグレミオ・ノボリゾンチーノへ期限付き移籍が決定した。「22年シーズン終わった後にヨーロッパ移籍を探したんですけどなくて、そのなかでブラジルのクラブからオファーがあって、自分自身の良さを出して活躍したいという思いで行きました」と移籍を決断した。

ブラジルで経験したこととは?【写真:(C) avispa fukuoka 】
ブラジルで経験したこととは?【写真:(C) avispa fukuoka 】

待ち受けていたブラジルでの試練「思い描いていたキャリアではないけど」

 移籍したブラジル2部では日々の練習で鍛錬を積むも、シーズン終了まで公式戦の出場は「0」に終わった。「難しい期間でしたけど、やるべきこと、自分がやらないといけないことは変わらずにやり続けてましたし、やり続けていたと言える自信はあります。出てない分、オフを利用して、出てる選手に一歩でも近づけるように、チャンスが来た時に自分の力を発揮できるように準備をして、強いメンタルを持ち続けることが重要なことだと学びました」と、苦しい期間でも収穫があった。

 ブラジルから戻ってくると、今季より活躍の場を福岡へ。「自分自身1年試合に出れていないなかで、それでも一番最初にオファーをくれて求めてくれた。福岡に行って自分が成長できるかを考えて、茂さん(長谷部茂利監督)と一緒にやっていきたいと自分の中で強く思って決断しました」と移籍を決めた理由を明かした。

 今後について「将来的には5大リーグに行きたいし、日本代表にも選ばれたいと思っている。日本を背負って戦う大切さ、代表としての重みを感じれるのは羨ましいなという思いと、自分もそこに行くという強い意志を持って日々過ごしています。日本のトップの選手に追い付き、追い越していけるのは、自分がやるべきことをやるべき場所でやっていくことでつながるのかなと思います」と将来的に再び海外でプレーして、代表へ再び招集されるのが目標だ。

 最後に、期待をされ、注目をされた高校生の時に描いていた未来と現状について、「思い描いていたサッカーキャリアではないですけど、思い通りにいく人はそんなに多くない。どんな場所でも人として、選手としても成長できていると実感しています。これからも自分が成長していくのを楽しみながらプレーしていきたい。これから先、努力次第でどうにでもなるので、地に足つけて、自分の頭で整理しながら夢と目標に向かって突き進んでいきたい」と力強く意気込みを語った。

[プロフィール]
松岡大起(まつおか・だいき)/2001年6月1日生まれ、熊本県出身。サガン鳥栖U-18―鳥栖―清水エスパルス―グレミオ(ブラジル)―福岡。鳥栖時代には高校2年生でプロデビューし、翌年にはクラブ史上初となる高校3年生でトップ昇格。各年代のアンダー代表でも活躍し、2022年に悲願のA代表初招集。

(FOOTBALL ZONE編集部・小西優介 / Yusuke Konishi)

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