欧州行き”加速も「海外ばかりがいいとも思わない」 なでしこ最年少デビューFWが”環境”に持論

元なでしこジャパンの岩渕真奈さん【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
元なでしこジャパンの岩渕真奈さん【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

ストライカー&ゴールキーパーキャンプに岩渕真奈さんが登場

 日本サッカー協会(JFA)は10月18日から国際サッカー連盟(FIFA)が展開する「Talent Development Schemeプログラム」の一環で、ストライカーとゴールキーパーの育成を目的としたトレーニングキャンプを福島県のJヴィレッジでスタートさせたなか、19日には女子部門の指導を元なでしこジャパン(女子日本代表)の岩渕真奈さんが行った。練習後の取材で「決して海外ばかりがいいとも思わない」と国内のWEリーグとの比較について言及した。

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 2年ぶりの実施となったトレーニングキャンプは新たな取り組みとして、ストライカーとGKの2つのポジションを融合。それぞれのポジションにとって有益なプログラムにすること、そして男女同時開催することで、日本国内における共通課題と、男女別の課題を抽出することで、国内での育成環境を更に発展させ、より国際競争力を有する選手を育成していくことを目指していくとしている。

 キャンプ2日目には岩渕さんが2部練習の午前から登場。2010年に当時16歳でA代表に初招集された岩渕さんは、翌11年の女子W杯で初優勝を飾ったなでしこジャパンに大きく貢献。2023年9月に現役引退後、JFAの「JFA女子サッカーデー2024」の取り組みなど、現在はさまざまなイベントに参加している。

 岩渕さんは自身で実演しながらお手本を見せたり、DF役を買って出たり、さらに1プレーごとに選手に細かくアドバイスするなど、未来のなでしこジャパンへ精力的に指導を行った。

 このキャンプの感想を問われ、「まず楽しかったです」と話し、「私自身もなかなかこういう教えるというか機会は少ないので、そのなかで可能性があるストライカーたちと関わることができて、もの凄くまず楽しかったなと。やっぱりまだまだ多分成長過程の選手たちと少しこれをこうしたらいいんじゃないって言ったら、すぐ受け入れてすぐその成長を見られることとかが一番楽しかったなと思います」と高校年代の女子選手に指導した感触を語った。

WEリーグも海外も「選手たちに合う合わないがある」

 岩渕さんは2007年に日テレ・東京ヴェルディベレーザでトップチームデビューし、ドイツのホッフェンハイム、バイエルン・ミュンヘンと海外クラブを経験したのち、国内へ戻りNAC神戸レオネッサでもプレーした。

 20年末から再び海外へ渡り、イングランドのアストン・ビラ、アーセナルでプレー。国内外で活躍した岩渕さんは「やっぱり結果」と、ストライカーとして一番大事な要素を挙げつつ、「ゴールへの意識というは一番大事にしていってほしい。仮にパスが下手でも点取れたらストライカーだと思う」と続けた。

 また、「私が一番身長も低く、何を伝えたらいいんだろうと思うこともあるんですけど、それでもいろんな経験をさせてもらって、ずる賢いというか、そういう部分はなかなか彼女たちがまだ感じられてないことだと思うので、私なりに少しですけど教えられたかなと思います」と世界で戦ううえで結果以外での大事な要素について語っている。

 近年日本の女子選手は海外でプレーする選手も増えており、今夏にはイングランドのマンチェスター・シティの女子チームにGK山下杏也加、DF清水梨紗、FW藤野あおばが加入。長谷川唯と合わせて同チームに日本人が4人となった。

 そのほかにもイングランドや欧州でプレーする選手がいるなか、岩渕さんは「海外に出て経験を積んで、代表に還元してくれるのは凄いことですし、やっぱり海外で選手が活躍してるのを見るのは、面白いなと思います」としつつ、「日本にもWEリーグがあるなかで、決して別に海外ばかりがいいとも思わない」と比較をした。

「ただ、WEリーグの方がいいとも思わないしそれって本当にバランスというか、本当にその選手たちに合う合わないもあるので、一概に海外にみんな出てるからいいよね、なでしこジャパン強いよね、みんな上手いよねっていうのは、ちょっと違うかなと思う」と持論を展開している。

 最後にはこのキャンプを通して「本当になでしこジャパンっていうものを目指してやってほしいっていうのは伝えました。今日教えた彼女たちが代表のユニフォームを着ているところを私個人的には見たいなと思う」と締めくくった。自身は16歳という年齢からなでしこジャパンに入っていただけに、若い世代の選手たちにとても期待している様子だった。

(FOOTBALL ZONE編集部・小西優介 / Yusuke Konishi)



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