「危うい状況」から2得点 J1残留確定を導く…大卒2年目の“ヒーロー”が生まれた舞台裏

東京Vの綱島悠斗【写真:徳原隆元】
東京Vの綱島悠斗【写真:徳原隆元】

24歳DF綱島が浦和相手に2得点

 待望のゴールは、大きな意味を持つものとなった。東京ヴェルディの24歳DF綱島悠斗は、10月19日のJリーグ1第34節の浦和レッズ戦で2ゴールを記録し、チームを逆転勝利に導いた。これまでも試合後のミックスゾーンでは「点を取りたい」と語っていた大卒2年目にとってJ1での初ゴールと2つ目の得点に。今回の勝ち点3により、東京VのJ1残留が確定している。

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 浦和戦のマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)にも選ばれた綱島だが、この試合の出場は危ぶまれていたという。ミックスゾーンでの第一声では、自身をピッチに立たせてくれた人たちへの感謝を口にした。「まず、この場を借りて言いたいのは、前節自分は怪我をして、この試合に出場できるか危うい状況でした。ヴェルディのメディカルスタッフを含め、いろんな人のご尽力があったおかげで、自分が試合に出場できたので周りの人たちに感謝したいなと思います」と、切り出した。

 この日、東京Vは序盤から浦和を圧倒したが、ワンプレーで先制点を奪われる。中盤でボールを奪われると、最後はMF渡邊凌磨にペナルティーエリア(PA)外からミドルシュートを決められた。後半に入っても攻め続けていた東京Vは、後半14分に綱島が同点ゴールを決める。「前半からこぼれ球が自分の前に来ていたので、良い形でボールが来たら振ってやろうと思っていた。そうしたら谷口(栄斗)選手がつぶれてくれて、ボールが転がってきた」という綱島が、理想的な形でボールを回収し右足を振り抜いた。

 この試合、全体的に浦和の寄せは遅かったが、この時も「時間もあったので、落ち着いてゴールを見た時にニアサイドがすごく空いていたので。一回落ち着く時間があったので、リラックスして蹴ることができました」と、自身が切望していたJ1初ゴールを振り返った。

 さらに後半31分には、MF山見大登のコーナーキック(CK)から綱島がヘディングシュートでゴールを決めた。「それも本当に谷口選手だったり、翁長(聖)選手の自分をフリーにしてくれる動きがあったおかげで、自分のところにドンピシャでボールが来たので。本当にボールもすごく良かったですし、あの場所で触れたことが得点につながった大きなポイントだと思います。ボールが良かったからこそ、インパクトを意識するだけでゴールを決められたので、本当に周りの選手たちのおかげだと思います」と、周囲のサポートがあってこそのゴールだったことを強調した。

 4試合を残してクラブのJ1残留を確定させたが、「自分たちの手でJ1残留を決めることができたことは嬉しく思っていますが、自分たちは残留が目的ではない。1つでも上の順位へ行って、狙えるならACLが狙えるところまでいきたい。残り4試合になりますけど、1つでも高い順位に行けるのがベストだと思います」と上を見据える。

 続けて「J1を代表する浦和さんに対して勝利できたのは、少なからず自分たちの自信になったと思いますし、個のレベルの高い浦和さん相手にああいうサッカーができたことも自信につながります。残り4試合しかありませんが、どの相手にも自信を持ってやれるのかなとは思います」と自身の胸を張った。

 16年ぶりとなるJ1の戦いで注目を集めていた東京Vは、4試合を残して7位に位置しているが、綱島を筆頭にシーズンを通した取り組みに手応えを感じているチームは、どのようにシーズンを締めくくるだろうか。

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