J2降格の鳥栖に起こっていた2つの「問題点」とは? 選手が必死の訴え「クラブを作り直した方がいい」

4試合を残して鳥栖の降格が決定した【写真:徳原隆元】
4試合を残して鳥栖の降格が決定した【写真:徳原隆元】

13年間J1に在籍した鳥栖の降格が決定

 サガン鳥栖は2012年に昇格後初めてのJ2降格が決定した。10月19日、J1リーグ第34節の京都サンガF.C.戦で0-2の完敗を喫し、他会場の結果によりJ1残留の可能性がなくなった。午後3時キックオフだった湘南ベルマーレの結果は、試合後の取材対応中に決まり、選手はその場で降格の事実を突きつけられた。選手の目に涙はなく、来季は2011年以来14年ぶりのJ2で戦うことになった。今季、鳥栖に起こっていた問題点とは何だったのか――。

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 無情にも試合終了のホイッスルが鳴り響いた。他会場の状況次第だが、この時点で残留は絶望的。10人の相手に苦戦し、最後にはエースFWマルセロ・ヒアンが退場する事態に陥った。GK朴一圭が「今年を象徴するゲーム」と話したように、暗いトンネルから脱することはできなかった。

 試合終了後のピッチ、膝をついて勝利を噛みしめる京都の選手と対照的に、涙なく手を腰に当てて前を見つめる鳥栖の選手たち。その時点ではまだ降格は決まっていない状況だったが、湧き出る感情を表現する選手はほとんどいなかった。

 まず1つの問題点は“熱量”の面。朴は「確かに何か淡々としているような感じは俺もしましたね。そこはもしかしたら今自分たちが置かれている状況でも、今の練習の雰囲気とか、普段の生活の温度感とか1つ1つに本当にこのクラブのために捧げるというのがもしかしたら、足りないと感じる方が多いのかもしれない」と指摘した。

 この夏も有望な若手であるFW横山歩夢が海外移籍を果たしたり、主力として牽引していたMF長沼洋一が浦和レッズへ移籍するなど流出が相次いだ。朴は「ここで活躍してほかのチームにステップアップする感覚でサガン鳥栖にいるような気がする。僕がここに来てから一番思ったのは貪欲さがすごくない。クラブで上に上がっていくという気持ちがどこか見えない」と、一丸になれなかった要因を話した。選手だけではなく、フロントを含め、基本的な“強化コンセプト”が統一、植え付けられていなかった事実がある。

 また、ピッチ上での問題も解決できなかった。2020年に移籍してきた朴は当初から「言われたことをやるのは得意。だけど自分で考えて判断するものに関してはすごく弱い」と感じていたという。これこそ、この日の試合展開もそう。数的有利になってからの戦い方で後手に回り、10人の京都が割り切って攻めてきた分“アドリブ”で対応することができなかった。これを朴は「クラブが変わっていかないといけない」と、方向性を定める必要性を訴えた。

「僕は(クラブを)作り直した方がいいと思っています。今のままでは難しいんじゃないのかなというのは見てはもらったらわかると思うんですが、やっぱりもっともっと選手がハードワークできるようになんなきゃいけない。本当にこのクラブのために、身を捧げるとか、やっぱそういう気持ち的なところも含めて。今年のこの結果は必然だと思っています」

 2012年から13年間守って来たJ1の舞台から去る。資金面などの苦悩はあるが、クラブ名の由来でもある「砂岩」のように、一丸となれるよう見つめなおさなければならない。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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