“鹿島エースの言葉”が虚しく響く…もがく名門、体制刷新も不完全燃焼で「悔しい」

鹿島FW鈴木優磨【写真:徳原隆元】
鹿島FW鈴木優磨【写真:徳原隆元】

中後雅喜新監督を迎えた新生・鹿島の初陣はスコアレスドロー

 鹿島アントラーズは10月19日、J1第34節のアビスパ福岡戦で0-0と引き分けた。今月6日にランコ・ポポヴィッチ前監督との契約を解除し、中後雅喜新監督を迎えた初陣のパフォーマンスに注目が集まったなか、チームは思いどおりに機能せず不完全燃焼の出来に。試合後、FW鈴木優磨は「悔しい」と言葉をこぼした。

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「まだ始まったばっかですけど、ちょっと悔しいですね」――。福岡戦後のミックスゾーンで、エースFWの言葉が虚しく響いた。

 今節を含め残り6試合となったタイミングで、鹿島はコーチから昇格した中後新監督を据えリスタートを切った。ホームの福岡戦で、2列目から前線には鈴木のほか、FW師岡柊生、MF名古新太郎、MF藤井智也が並んだなか、前半は何度か攻め込む場面を作りながらもどれも迫力を欠いた。

 前半40分、セットプレーから前半最大の決定機を迎えたが、名古のキックに頭で合わせたMF知念慶のシュートは相手GKの好守に遭い、膠着状態のまま後半へ。ハーフタイム明けに藤井に代えてMF樋口雄太、後半16分にはMF三竿健斗、FW徳田誉を同時投入して打開を図るも、最後まで相手ゴールを脅かせなかった。

「今日の試合に関してはあんまり決定的なチャンスを作れなかった」(鈴木)と言うように、中後新体制下で目指すボールをつなぎながら前進するスタイルの片鱗は見せたものの、単調な攻めが目立った。4-2-3-1システムの2列目左での起用となった鈴木は、サイドや中央でボールを収め攻撃の起点に。本来とは異なるポジションでのプレーぶりに中後監督も「非常に良かった」と評した一方で、その働きぶりを十分に活かせなかったことを嘆いた。

「彼を起点にしながら、じゃあ背後を誰が取りに行くのか、そこはもっともっと詰めていく作業になってきて、やっていかなければいけないと思います。彼のパフォーマンスに関しては起点になってくれて良かった。ただ、最後のところで彼がいる、中央にいるっていうのは我々の強みです」

 前節のアルビレックス新潟戦(4-0)後に指揮官交代へ踏み切り、リスタートを切ってからおよそ2週間、チームの成熟度では相手と明確な差が現れ、練習では上手く機能していた攻撃も、思い描いていたものとは異なった。狙いの1つだった右サイドからの攻撃も「思っていた以上に前半は機能しなかった」(鈴木)と選手からは反省の言葉ばかりが漏れる。

 今季リーグ戦のホーム無敗記録は17試合に伸びたが、再建途上のチームに軸となるべき戦い方は確立されていない。中田浩二フットボールダイレクター(FD)は来季新監督を招聘する意向を明言し、今季限りの暫定措置となる中後体制下では残り5試合。復権への道筋を見い出せずもがく名門は、その答えを掴むべく一歩ずつ歩んでいく。

(FOOTBALL ZONE編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto)



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