なでしこの「赤い人妻」 監督代行も認めた実力者「初招集だというのは知らなかった」
浦和LのDF遠藤優がなでしこ初選出
三菱重工浦和レッズレディース(浦和L)のDF遠藤優は、10月26日に韓国女子代表と戦うなでしこジャパン(日本女子代表)のメンバーに初選出された。WEリーグで好調な右サイドバックは、持ち前のスピードを生かしたサイドでの力強いプレーと明るいキャラクターが魅力だ。
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遠藤はさいたま市出身で中学から地元の浦和L下部組織に入団すると、トップ昇格まで勝ち取った。その間には2014年のU-17女子W杯の日本代表に選出され、世界一を勝ち取った優勝メンバーにも名を連ねている。
しかし頭角を現すまでには少し時間が掛かり、2021-22シーズンのWEリーグ初年度もリーグ戦でのスタメンは1試合もなく、「スーパーサブ」のような立場だった。そして、遠藤の投入はゴールが欲しいタイミングという意味もあり、今回なでしこに選出されたサイドバックというよりは、むしろサイドハーフとしてよりゴールに絡むプレーを期待されてピッチに送り込まれることが多かった。
しかし、翌シーズンから選手の入れ替わりもあるなかでレギュラーを掴むと右サイドバックに定着。持ち前の攻撃力だけでなく、男性のフィジカルコーチと1対1の特訓を行うなど守備面でも貪欲に能力を高めてきた。無尽蔵のスタミナの持ち主で、強度高く守備の1対1を戦った後にサイドを駆け上がってクロス、あるいは中に切り込んでシュートまでつなげる。常に「強気で仕掛けていく」という言葉を残す遠藤は、右サイドのスペシャリストとしてチームの2連覇に貢献して昨季はリーグのベストイレブンにも初選出された。
ピッチ外では2022年4月には結婚したことを発表したことでも話題になった。SNSでの情報発信にも積極的で、昨季に22試合20得点の驚異的な成績を残したチームメートのFW清家貴子(現ブライトン)がWEリーグから「赤い稲妻」と命名されると、自ら「赤い稲妻 清家貴子ならぬ、赤い人妻 遠藤優です」と投稿したユニークなキャラクターの持ち主でもある。
なでしこジャパンの右サイドは、4バックでも3バックでもDF清水梨紗(マンチェスター・シティ)が常にレギュラーとしてプレーしてきた。しかし、パリ五輪で清水は膝の前十字靭帯断裂の大きな負傷を負い、現在はリハビリ中。本大会中にはサイドの手薄さがクローズアップされた側面もあり、初招集ながら遠藤に掛かる期待も大きい。
正式監督が未決定のなかで迎える韓国戦の指揮を執る日本サッカー協会(JFA)女子委員長の佐々木則夫監督代行は、遠藤について「WEリーグやアジアの大会も見させてもらうなかで、今は清水さんが故障しているが、非常に清水さんとダブるような質の高い攻守を表現してもらっていた」として、「非常に運動量が素晴らしく、動くだけでなくタイミングが素晴らしい。浦和でもゴールに絡んでいる」と期待を込めた。
佐々木監督代行が「評価をかなりしているということ。初招集だというのは知らなかった。過去にもあったと思っていた」と話したことは、今まで脚光の当たる日本代表の舞台に出てこなかった中でも実力者として認識されていたことの証明にもなる。
10年前に世界一を勝ち取ったチームメートには、MF長谷川唯やMF長野風花らの現在なでしこで中心選手の座を築いている選手もいる。遅れてきた形になる遠藤だが、右サイドに躍動感あるプレーを見せる姿が期待される。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)