後輩にご馳走、暇潰しのパチンコで散財…募る後悔 Jリーガーが遂げた異色の転身【インタビュー】

現在は資産形成コンサルタントとして働く舩津徹也氏【写真:福谷佑介】
現在は資産形成コンサルタントとして働く舩津徹也氏【写真:福谷佑介】

舩津徹也氏、現役時代の後悔「あの時に知っていたかったな」

 異例のセカンドキャリアを歩んでいる元Jリーガーがいる。カターレ富山やセレッソ大阪、モンテディオ山形、ザスパクサツ群馬を渡り歩き、FC岐阜に在籍していた2022年シーズンをもって現役を引退した舩津徹也氏は現在、保険の代理店に勤めつつ、資産形成コンサルタントとしても働いている。なぜサッカーとは全く関係のない道を歩むことになったのか。自身のキャリアやサッカー界のお金事情などを語ってくれた。(取材・文=福谷佑介)

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 2009年にカターレ富山でプロ生活をスタートさせた舩津氏。2022年に14年間の現役生活に幕を下ろし、それから2年ほどが経過した。都内某所に現れた舩津氏の表情は生き生きとしていた。「今は保険の代理店に勤めつつ、資産形成のコンサルティング会社にも在籍させていただいていて、資産形成のお手伝いをさせてもらっています」。サッカー界に限らず、幅広く人々に資産形成の助言を送っている。

 異色のキャリアを歩むことになったキッカケは現役晩年にある。引退が頭をよぎるようになり、おぼろげながら“その後”を考えるようになった。「現役を終えたあとに稼ぐのは難しいというイメージがありました。富山時代の先輩に保険の代理店を経営している方がいて、その方に色々とお話を聞かせてもらっていました。自分もそうですし、周りもそうでしたけど、サッカー選手って金融リテラシーがない人が多い。それって良くない、その状況を変えたいな、と思ったんです」。その先輩からの誘いもあり、サッカー界とは無縁の、金融の世界に飛び込んだ。

 舩津氏自身も現役時代に苦い経験をした1人だった。25歳頃、勧められるがまま積み立て式の、とある保険に加入した。5年ほど経ち「その商品があまり良くないって聞いたので」と解約。満期前だったため、100万円ほどの損失を被ることになった。当時は金融に関する知識はほぼなかった。Jリーガーは長期間、安定した収入が保証されているわけではなく、保険料を払うのが苦しくなることもある。自分だけでなく、そういった選手を何人も周囲で見てきた。

 将来のことも深く考えず、後輩に食事をご馳走したり、車を現金一括で購入したり、パチンコに行ったり……。手持ちの資金に余裕があれば、散財していた。「今、知っているようなことをあの頃からやっていれば、だいぶ余裕ができていたと思うんです。あの時に知っていたかったな、って思います」。自身がした後悔を、後輩や他の人たちにはしてほしくない――。そんな思いで、今の仕事に就いている。

資産形成の重要さを引退後に実感した【写真:Getty Images】
資産形成の重要さを引退後に実感した【写真:Getty Images】

「引退したときに次の仕事を探すためのキッカケになったり、余裕になったりする」

「選手時代にある程度ちゃんと資産形成をできれば、引退したときに次の仕事を探すためのキッカケになったり、余裕になったりする。でも、実際のところ、あまりお金のことも、仕事のことも考えていない選手が多いんです。急に現役が終わった、クビを切られるってなったときに『どうしよう』ってなる。やりたいのであれば良いですが、仕事しないといけないから、とりあえずスクールの指導者になる、みたいな人もいます。そうしたセカンドキャリアのところでも問題がある、そういうところを変えたいなって思いました」

 働いていると苦労も多い。特に“お金”に対して持たれるネガティブなイメージを痛感する。「日本は人々がお金に対して持つイメージが良くないですよね。保険っていうとなにか胡散臭いとか騙されそうみたいなイメージがあるかもしれないですね。僕が現役でいた頃より、選手たちにも知識はついてきているとは思いますけど、それでもお金の話って怪しい、怖いみたいなイメージがあるので、それがもったいないなって思います」。そのイメージを変えられるように、丁寧に、親身になって話をしている。

「僕もなぜ資産形成をやらないといけないのかって、現役時代は理解していませんでした。ただ、今後は年金がなくなるかもしれない。物価は上がっているのに銀行の金利は0.02%くらい。0.02%で運用しても、物価上昇に勝てず、資産的には減っていっているということ。昔はそれこそ年利8%みたいな銀行もありましたけど、時代は変わっている。その時代に適用しないといけないとなると、資産形成は絶対にすべきだと思います」

 引退して約2年が経ち、徐々にクライアントも増えてきた。「楽しくなっていますし、やりがいも感じています。最近は一般の方に話をさせてもらうことも増えてきました。『相談させてもらって良かったです』と言ってもらえることにやりがい、嬉しいな、もっとやろうって思えます」。現役時代とはまた違ったやりがいを強く感じながら、日々を送っているという。次回は思い切って飛び出したからこそ感じるセカンドキャリアの可能性についても語ってもらう。

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