日本代表27歳が「ものすごい成長」 OB絶賛、頭1つ抜けた「存在感」…欧州で定位置確保【見解】

3バックで好パフォーマンスを見せた板倉滉【写真:徳原隆元】
3バックで好パフォーマンスを見せた板倉滉【写真:徳原隆元】

【専門家の目|太田宏介】板倉がオーストラリア戦で好プレーを披露

 森保一監督が率いる日本代表(FIFAランキング16位)は10月15日、ホーム(埼玉スタジアム)で行われた2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第4戦でオーストラリア(同25位)と対戦し、1-1のドローという結果になった。ここまで最終予選で無失点を続けてきた森保ジャパンは不運なオウンゴール(OG)で先制されてしまったが、MF中村敬斗のOG誘発で追い付くことに成功。元日本代表DF太田宏介氏は試合を振り返りつつ、この試合で特に目立った2人の名前を挙げてくれた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也)

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 日本は最終予選の初戦で中国相手に7-0の快勝。続くバーレーン戦で5-0、サウジアラビア戦で2-0の勝利を収め最高のスタートを切った。迎えたオーストラリア戦はホームの声援も力に勝利を得たかったが、後半13分にDF谷口彰悟のクリアミスがオウンゴールとなってしまう。

 相手にカウンターを仕掛けられ、GKと最終ラインの間に放り込まれたボールを上手く処理しきれなかった形だが、太田氏は「(対応は)難しいですけど、(クリアは)右足ではなくて左足だったと思います」と冷静に分析しつつ「ただ、ああいうアンラッキーって必ず起きることなので。(谷口を)責められないですよね」と代表選手をおもんぱかった。

 一方、攻撃面でチームをドローに導く高パフォーマンスを見せたのは、MF久保建英に代わって後半25分からピッチに立った中村。投入からわずか6分後、左サイドを突破し相手DFキャメロン・バージェスのOGを誘発した。

 太田氏も特に印象に残った1人に中村を挙げ「あの時間帯に出てきて、残り20分は完全に中村敬斗選手の時間だったと思います。怖いゾーンに潜って行ける、また違った強みのあるサイドプレーヤー。強烈なインパクトを残したと思います」と称える。中村は攻撃面で違いを演出し、あのOGがなければ「負けていた」日本にとって救世主とも言えるはずだ。

 さらにもう1人。太田氏が名前を挙げたのが、守備面でチームを支えていた27歳のDF板倉滉だ。最前線のFWミッチェル・デューク(FC町田ゼルビア)に加え、板倉とマッチアップしたMFライリー・マッグリーにも仕事をさせず。鋭いスライディングタックルなどで相手の攻撃の芽を摘んだ板倉について「この予選通じてもそうですけど、オーストラリア戦は特に存在感ありましたね」と賛辞を送る。

「普段ヨーロッパのブンデス(ドイツ1部)で定位置を確保して。ここ数年でものすごい成長スピードを見せている選手だと思います。最終ラインは谷口選手を含めみんな良いプレーを見せてくれていますが、板倉選手の安定感はより高いなと感じています。スライディングで止めきった1対1の場面も見事でしたね」

 日本は11月15日にインドネシア戦(ジャカルタ)、同19日に中国戦(廈門)と、アウェー連戦を控えている。中村、板倉の貢献を称えつつ、「ドローを引きずらず」勝利へ突き進む日本代表を、太田氏も期待していた。

(FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也 / Kenya Kaneko)

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太田宏介

太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。

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