久保建英が「PK取れた可能性も」 驚愕の“ワンタッチ”は何が凄い?…代表OB「天才的にうまい」【見解】

太田宏介氏が久保建英のプレーを称賛【写真:徳原隆元】
太田宏介氏が久保建英のプレーを称賛【写真:徳原隆元】

【専門家の目|太田宏介】何度も仕掛けチャンス演出、とあるワンプレーを絶賛

 森保一監督が率いる日本代表(FIFAランキング16位)は10月15日、ホーム(埼玉スタジアム)で行われた2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第4戦でオーストラリア(同25位)と対戦し、1-1のドローで引き分けた。この試合で先発し後半25分までプレーしたMF久保建英は、右サイドで何度も仕掛けチャンスを演出。なかでも真骨頂とも言える“超絶トラップ”を、元日本代表DF太田宏介氏も絶賛した。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也)

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 森保ジャパンはこの最終予選で3バックシステムを採用。1トップの下に2人のシャドーを並べ、両サイドにウイングバックを置く3-4-2-1のフォーメーションを基本として“攻撃的”布陣で戦ってきた。久保はオーストラリア戦で右のシャドーとしてスタメン出場。相手の堅い守備に苦戦した日本だが、脅威を与えていたのは久保のプレスバックと縦へ仕掛けるプレーの連続だった。

 特筆すべきは前半21分、自陣からDF谷口彰悟のロングフィードに久保が反応。完全に外から裏を取ったなか、驚きのファーストタッチを披露する。左足でうしろから来たボールを絶妙なタッチでコントロールし、内側のコース取りで完全に相手DFの前へ入る。そのままペナルティーエリア内へ侵入したが、惜しくもカバーに入った相手の守備に防がれ得点チャンスとはならなかった。

 日本代表として7キャップを経験する太田氏も「相手の前に入った瞬間に倒れていたら、PK取れた可能性もあった」と状況次第ではビッグチャンスになっていたシーンに注目。「結果的にちょっと長くなりましたけど、一番怖いゾーンに入っていけるトップスピードでの浮き球の処理の基本技術のうまさはさすが」と絶賛した。

「久保選手が左利きというのもありますが、通常は(近い足だと)ミスが多くなってしまうので、ボールに対して遠い方の足の右足でトラップするのがセオリー。でもあの足首のボールフィーリングと柔らかさ。やっぱり右足でしっかり踏み込んでいるからこそ左足が力を抜けて、そのまま次の一歩にトップスピードで行ける足の運びのうまさ…天才的にうまいですね」

 久保ならではの技術が詰まったワンシーン。だがそれだけではなく、太田氏はその久保にボールを届けた谷口のフィードにも言及し「トラップしてから顔を上げた瞬間に、建英の動きを見てそれを逃さなかった。ここがまず素晴らしい」と称賛。「何より、建英のスピードを落とさずにフィードしたそこのロングパスの精度(が良かった)」と、息の合った連続したプレーの視点でも凄さを語っている。

 久保に関しては「あれだけ前半から縦に仕掛け続けたことが、(相手に)ジャブのように効いていた」と、仕掛ける姿勢が全体的にも相手に少なからず圧力をかけていた点を評価。太田氏は加えて「建英のサイドだけではなく、三笘(薫)選手や中村(敬斗)選手があれだけ仕掛けるシーンが多かった。やはりオーストラリアは堅守というか…空中戦が強いのでクロスなどで難しい部分もありましたが、ディフェンスラインからしたら、両サイドがガンガン仕掛けてくれて90分通してそれができるのは最大の強みだと思います」と、日本の攻撃陣が持つ特性にも舌を巻いていた。

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太田宏介

太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。

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