豪州戦ドロー劇の救世主…OG誘発ドリブルなぜ生まれた? 中村敬斗がアジア杯で直面していた課題
豪州戦で途中出場からOG誘発、中村敬斗が躍動の背景
森保一監督が率いる日本代表(FIFAランキング16位)は10月15日、ホームで行われた2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第4戦でオーストラリア(同25位)と対戦し、1-1で引き分けた。オウンゴール(OG)で先制されたチームを救ったのはMF中村敬斗。“決定力おばけ”の24歳がOG誘発という決定的な仕事をやり遂げた。MF三笘薫と共存し、キレキレのドリブルを披露できた理由を明かした。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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圧巻の“敬斗ショー”だった。苦しんだオーストラリアの堅守をたった1人で崩した。後半31分、左サイドでボールを持った中村が勇敢に仕掛ける。ドリブルでペナルティーエリア奥までえぐり、狭いスペースから高速クロスを送り込む。この時点でほぼ“1点”。相手もたまらず足を伸ばしてOGを誘発した。
「負けている状態で入ったのでゴールに向かって前に前にプレーしようと意識していました。カットインからのシュートは相手が中で密集していてできなかったので、縦っていうのは意識していたんですけど、うまく三笘選手が僕にフリーな状態を作ってくれるように中にいてくれたので良かった。1人抜いて、カットインして打とうかなと迷ってたんですけど、2枚目のDFが見えて、カットイン1人目についてこられるかなと思ったので、縦にキックフェイントで交わして……ついてくるかなと思ったんですけど、うまく抜き入れて、もっと中に切り込めたので良かったです」
相手が付いて来られなかったドリブル。今年1~2月に行われたアジアカップでは、三笘が負傷していたこともあり、左サイドで3試合先発という多くのプレー時間を与えられた。1ゴールという結果はついていたが、本人には1対1で課題を感じていた。フランスへ戻ってからは身体能力が高い相手に対して、自分を鍛え続けた。今季からは監督も代わり、役割も変化していたなかで、現在4戦連発中という結果までも残している。約8か月経って、日本代表の舞台でも個人の技術が高まっていることを証明した。
「カウンターの場面で自分がトップスピードの状態でクロスを中に入れていくというのは、フランスリーグで相手選手が身体能力の高い選手がほとんどのなかでやっている。そういう日常でやれているので、それが自分の中で成長している理由かなと思います。フランスでは身体能力が高い選手が多いので、あんなぶっちぎっていくみたいなことは……多分2人目をキックフェイントで交わしていくのもおそらくフランスだったらついてくると思う。(ボールを)取られてはないと思うんですけど。あんなに切り込んでいくということはなかなかない。(フランスなら)多分ついてこられたなかで左足でクロス、っていう感じだったと思うんですけど」
欧州の環境で自然と身についていたドリブル力。オーストラリアDF陣は中村についていくことができなかった。森保ジャパン屈指のシュートの上手さに加えて、周囲を魅了する新たな武器をいかんなく発揮。三笘との共存もさらなる可能性を感じさせた。「大事な試合でこういうかなり拮抗した試合でゴールに直結できるようなプレーができたのはすごく嬉しい」。黒星の窮地から救世主になった中村。11月シリーズにはさらに大きくなって帰ってくることだろう。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)