強さゆえの問題点「サッカーの怖いところ」 日本代表OBが指摘…圧倒しすぎて陥った罠【見解】

ミッチェル・デュークとマッチアップした谷口彰悟【写真:徳原隆元】
ミッチェル・デュークとマッチアップした谷口彰悟【写真:徳原隆元】

【専門家の目|栗原勇蔵】その後の谷口を称賛「修正できたのはいい選手の証」

 日本代表は10月15日、北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第4節に臨み、オーストラリア代表とホームで1-1の引き分けに終わった。最終予選での初失点は、まさかのオウンゴール。日本代表OBの栗原勇蔵氏は、「そこがサッカーの怖いところかなと改めて思いました」と強さ故の問題点を指摘した。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 日本は前半からポゼッション率70%を超えるなどゲームをコントロールしたが、ブロックを敷いた相手に跳ね返されて得点できず。すると後半13分、GK鈴木彩艶のフィードを奪われ、MFルイス・ミラーが右サイドからクロス。戻りながら対応したDF谷口彰悟がクリアしようとしたボールがゴールに吸い込まれた。

 右足のアウトサイドでのクリアがミートせず、まさかの方向に飛び、谷口は頭を抱えて呆然。同じ代表DFとしてオーストラリア代表との対戦経験もある栗原氏は、「難しいですね。戻りながらというのももちろんあるし、ボール触る角度1つ間違えるだけでああいう嘘みたいな失点になってしまう」と言及した。

 さらに指摘したのは「ここ最近の試合で圧倒しすぎていた」という点。最終予選の3試合では計14-0、守備の時間が少ない試合も多かった。「集中していないわけじゃないんですけど、守備に慣れていない。ピンチが少なくてたまに来ると、ワンチャンスをものにされるということはよく起きる」と見解を述べた。

「やっぱりやった張本人はちょっと凹んだり、オウンゴールはなかなかないので、多少メンタル来るはずですけど、その後は普通に落ち着いてやっていたのはさすがだなと。起きてしまった後にどうするかという時間もありましたけど、修正というか普通にできたところは、やはりいい選手の証かなとは思います」

 試合は後半31分、MF中村敬斗が鋭いクロスで相手のオウンゴールを誘い、1-1のドローで終了。「谷口みたいな経験豊富な選手でもああいうプレーをやったりするので、そこがサッカーの怖いところかなと改めて思いました」。森保ジャパンがかつてないほどの強さを見せるからこそ陥ってしまった失点だった。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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栗原勇蔵

くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

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