W杯出場を「逃すとは考えにくい」 英記者も驚いた日本の「組織力と規律」…“3+2”で築いた壁【コラム】
サウジアラビア相手に無失点2-0で勝利、英記者が戦いぶりを総括
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング16位)は現地時間10月10日、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第3戦でサウジアラビア(同56位)とアウェーで対戦し2-0の勝利を収めた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏がこの試合を総括し、3バックで示す守備の強固さを絶賛している。
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この日本代表を形容するのに、多くの称賛の言葉が使われてきた。中国とバーレーンを相手に容赦のない勝利を収めた後、森保ジャパンはアジア最強のチームの一つであるサウジアラビアを敵地で下し、堅実さと強さと粘り強さを持ち合わせていることを証明してみせた。
これでアジア最終予選は3戦3勝。日本は早くもワールドカップで拠点とするアメリカのホテルやトレーニング施設を探す誘惑に駆られていることだろう。このサムライブルーが本大会出場の切符を逃すとは考えにくい。
この勝利は、森保一監督率いるチームがこれまでにはあまり見せてこなかった一面を示したものだった。ジェッダでの日本代表は、守備に対する決意と堅実さがあった。
森保監督が守備を3バックにするという決断は、この予選の初めからうまく機能しているが、サウジアラビア戦ではこれまで以上に効果的だったといえる。
板倉滉、谷口彰悟、町田浩樹のトリオは遠藤航と守田英正のサポートを受け、突破不可能な守備を築き上げた。前半27分のプレーなどはこの5人の連係の良さを示すものだった。
日本が鎌田大地の冷静なフィニッシュでリードを奪ったあと、サウジアラビアは試合をふりだしに戻そうと攻撃に転じた。しかし、日本の守備陣は一度のみならず、二度、三度とサウジアラビアの攻撃を跳ね返し続けた。
ファンやメディアは日本の攻撃面にばかり注目しがちだが、これほどまでに優れた守備を見せる光景はこれまでにはほとんどなかった。
このチームの組織力と規律は成功のための礎だ。それに加えて、個々の技術力や一体となって流れるようなプレーを見せる能力も併せ持っている。
前半14分前に生まれた鎌田大地のゴールは日本にとって完璧なスタートだった。単にリードを奪っただけでなく、サウジアラビアの攻撃陣にプレッシャーを与えることになった。
サウジアラビアがなんとか試合の主導権を取り戻そうとするなかで、日本には常にカウンターを仕掛ける可能性があった。最終的にロベルト・マンチーニ監督のチームは高温多湿のピッチ上で徐々に力尽きていった。
それによって森保ジャパンはベンチの選手も含めた最高のコンディションの選手たちを存分に生かすことができた。2点目が生まれたことも驚きではなかった。我々は最近、日本が終盤に相手チームを追い詰める姿を何度も目にしてきた。
さあ、次の舞台は埼玉スタジアム。トニー・ポポヴィッチが新監督に就任し、勢いを取り戻しつつあるオーストラリアとの対戦だ。“サッカルーズ”(オーストラリアの愛称)は中国相手に前半は苦戦を強いられたが、最終的には快勝している。
中国のような弱々しい相手のパフォーマンスを参考にするのは無意味だろうが、森保ジャパンが再び勝点3を手にするだけの力は十分にある。次の火曜日(15日)の勝利は、日本の予選突破を大きく手繰り寄せる結果となるのは間違いないだろう。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。