“アウェーの洗礼”も今は昔…驚かされたサウジアラビア 5年前と一変したスタジアム
前日会見から豪華な食事を用意、日本のメディアにも振る舞われた
「アウェーの洗礼」も覚悟していたが、どこか拍子抜け感も否めない空気感だった。サッカー日本代表は現地時間10月10日、北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選でサウジアラビアに2-0で勝利。過去3戦全敗だった鬼門のジッダで初勝利を掴んだ。一方、ピッチの外でのサウジアラビアの本気度も伺えた。
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中東でのアウェー戦と言えば、勝利のためならありとあらゆる手段を使うイメージを持つファンも多いだろう。最近でも、9月に行われたバーレーン戦でレーザーポインターでの妨害や、日本国歌に対してブーイングをしたことで話題に。森保一監督が試合後「止めていただきたい」と苦言を呈す事態となった。
以前はサウジアラビアも例外ではなかった。2021年10月に同じジッダのキング・アブドゥッラー・スポーツシティで行われたカタールW杯のアジア最終予選、試合後にDF吉田麻也が相手サポーターから人種差別的なジェスチャーを受けて激高。しかし、今回の試合では肩を落として帰る観客の姿が印象的だった。
サウジアラビアは2019年まで、多くの国からの観光ビザでの入国を受け入れていなかった。しかし、2023年にクラブワールドカップを開催するなど、近年ではサッカーでも大きな国際大会の誘致に力を入れている。2034年に開催予定のW杯の開催地にも立候補し、環境の整備に力を入れていることも想像できる。
とりわけ驚かされたのが、女性と子どもの観客の多さ。そもそも、2018年までは女性のスタジアムでのサッカー観戦が許されていなかったが、わずか5年ほどで景色は大きく変わった。日本の記者が試合前にコンコースを歩くと「ウエルカム」と歓迎を受ける。欧州や南米と違った新たな文化が育まれ始めている。
また、関係者へのホスピタリティもさすがサウジアラビアと思わせるものだった。メディアセンターでは、前日会見から豪華な食事を用意。種類も豊富なハンバーガー、揚げ物、デザート、コーヒーなどが日本のメディアにも振る舞われた。爆買いのイメージが先行するが、このように投資を惜しまないのだ。
40度超の気温は玉に瑕だが、忘れ物をしても戻ってくるほど治安も良いサウジアラビア。現地の記者から、2034年のW杯を誘致するためのポスターをプレゼントされた。描かれていたのは、日本のアニメ風のイラスト。アジアのサッカーの発展のためにも、両国がさらに良好な関係を築いていくことを願いたい。