「オレが言った」提案者は1人の海外組 森保ジャパンが行う“改革”…欧州時差対策の全容判明
パフォーマンス向上でゴール数も急増
森保一監督率いる日本代表は10月8日、ジッダで10日の北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選アウェー・サウジアラビア戦に向けて2日目の練習を実施。27人全員が揃い、約1時間半の練習で戦術の確認などを行った。メンバー発表会見で山本昌邦ナショナル・チームダイレクター(ND)が海外でプレーする選手たちは日本滞在時に“欧州タイム”で過ごしていることを明かしたが、その全容が明らかになった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから
◇ ◇ ◇
日が暮れたジッダの夜に森保ジャパン27人全員が揃った。風は少し吹くが、肌は湿度の高さを感じる。三日月が輝くアラビアの夜空には活気ある声が響いた。
今回は環境への適応が1つの課題に挙がる。10月シリーズのメンバー発表会見で山本NDが、選手たちのコンディショニングへの取り組みとして、日本でも欧州タイムで生活できるようなサポートをしていると明かした。欧州でプレーする選手が代表メンバーのほとんどを占めていることから「ヨーロッパの選手がこちらで、ヨーロッパ時間で生活できるような準備をしている。朝食を抜かして昼や夜の食事をヨーロッパ時間に合わせるようにして、そのままの時間で帰れるようにしている」と話していた。
最終予選突破のために協会が手を尽くしてバックアップ。実はこの“発案者”、背番号10のMF堂安律だった。堂安は「それ俺が言ったんです」と笑みを浮かべ、その理由を話した。
「選手が3日、4日、日本でステイする中で、それは果たして(日本時間に身体を)戻すのが正解なのかが1つの疑問でもありましたし、10日間ホームで2試合あるのであれば、2試合目に向けて戻せますけど、1試合だったら戻さなくても、夜の7時半キックオフなので。欧州は(昼の)12時半。12時半なら欧州は試合もあるし、普段練習もあるので体が別に寝てる時間じゃない。戻さなくても身体は動いているんじゃないか、というのは選手からも言いました。それを行動してくれて。選手に歩み寄ってくれて、かなり助かっていますね」
9月シリーズは日本から欧州とほとんど時差のないバーレーンへの遠征。所属クラブの欧州各国から帰国した際に“時差ぼけ”状態で過ごし、バーレーンへそのまま欧州タイムで乗り込むことができた。選手によって調整法は個人差があるものの、なるべく遅くまで起きて、朝もゆっくり寝る。朝食を抜きにして、ブランチのような朝食と昼食の間に取ることができる。夕食のあとは軽い夜食も用意され、午後7時半開始の試合を欧州時間12時半キックオフの状態で臨むという。
これでクラブへの帰還もスムーズとなり、代表選手は9月シリーズ後のパフォーマンスが向上。MF伊東純也は4戦で1ゴール1アシスト、MF中村敬斗は4戦連発、MF堂安律とFW上田綺世は4戦2発、MF久保建英が1ゴール、MF三笘薫、MF南野拓実も1アシスト……と、数字を残している。
伊東は「前回はそんな感じでスムーズにいけた」と、調整法の手応えを感じた。
サウジアラビア戦後に控えるホームのオーストラリア戦(15日)ではまた“時差ぼけ”状態で臨む選手が多いはず。協会の強力な後押しもあり、“総力戦”でW杯切符を獲得する。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)