4試合連続ベンチ外…出場ゼロでもなぜ? 37歳・長友佑都が森保ジャパンに呼ばれ続ける訳

長友佑都【写真:FOOTBALL ZONE】
長友佑都【写真:FOOTBALL ZONE】

長友佑都がサウジアラビア戦でベンチ入りする可能性が浮上

 森保一監督率いる日本代表は10月7日、ジッダで10日の北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のアウェー・サウジアラビア戦に向けて初練習をスタートさせた。DF長友佑都(FC東京)は過去2度の敵地戦を経験。ここまで6月、9月と4試合連続でベンチ外となっていた37歳だが、最終ラインの怪我人が続出もあり、大一番でベンチ入りする可能性も浮上した。頼もしいベテランが第2次政権でも招集され続ける理由とは――。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)   

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 日が暮れたジッダの練習場。スタジアムすぐ横のグラウンドでは生暖かい風が吹いていた。この場所に来れば思い出す。悔しい時間を過ごしたことを――。

 最終予選では17年、21年と敵地のサウジアラビア戦で2連敗中。2006年に行われた大陸選手権を合わせてもジッダで行われた3戦すべてで敗れており、1点も取れていない。そんな“鬼門”のアウェーで37歳長友の声が響いた。

 ボール回しでは初招集のDF関根大輝に「関根! ついてこい!」と大声で牽引。この日、練習場を訪れた「ジッダ日本人会」の子どもたち20人にも丁寧に1人ずつ話しかけてコミュニケーションを取っていた。

 過去2連敗のサウジアラビア戦に先発出場している長友。キング・アブドゥッラー・スポーツシティスタジアムは風が通りにくく、暑さもこもる。長友も感じた過酷な環境だ。

「いや本当に結構、苦しかったなっていう印象ですね。相当暑かったなっていうのと、あと超満員になって、非常に熱気というか空気が薄い感じがして、ハーフタイムに帰ってきて非常にみんな苦しんでいたなっていうのは印象に残ってますね」

 今年3月、森保ジャパン第2次政権で初めて招集された。1月、2月のアジアカップは優勝を目指していたなかでまさかのベスト8敗退。実は森保監督自身、長友を招集しようと以前から画策していた。ただ、東京五輪世代の台頭、世代交代もスムーズに進んでいたこともあり、見送りに。それでも、アジア杯での敗退を受けて経験を伝えるベテランを指揮官自らが“熱望”した。

 MF久保建英は長友の復帰を「長友選手みたいにベテランでもある意味新しい風」と評した。アジア杯で味わった閉塞感から脱するのに絶妙なタイミングだった。

 3月にベンチ入りしたのを最後に、6月、9月はベンチ外に。復帰後、ここまで出場時間はゼロとなっている。だが、その存在は大きく、長谷部誠コーチとともに“中間管理職”として選手のメンタル面に大きな影響を与えている。

 久保のほか、MF三笘薫、MF堂安律らタレント揃いの東京五輪世代も2度目の最終予選を戦っている。一方で日本代表歴代2位の国際Aマッチ142試合出場を誇る長友が持つ経験値には敵わない。アジア杯ではリーダーとしての自覚も課題に挙がった。若手から中堅が牽引する意識を持つとともに、長友が精神的支柱としてまとめることで、タスクが分散されてピッチ上の11人の負担が軽くなる。また、ベンチ外からの視点も重要で、ハーフタイムの声掛けはチームの流れを一変させる。ここまでの半年以上は縁の下の力持ちとして重要な役割を果たしてきた。

 今回の相手はセリエAインテル時代に共闘したロベルト・マンチーニ監督率いるサウジアラビア代表。日本の最終ラインに怪我人が続出しており、左サイドバック本職は長友だけだ。ベンチ入りの可能性もあり「僕はいつでも代表に貢献できるように準備していますし、プレッシャーがかかるほど、相手が強ければ強いほど、自分は生きるな、と。活躍できるな、というふうな自信も持っているので、困ったときはしっかりと準備しています」。百戦錬磨の鉄人がその瞬間を虎視眈々と狙っている。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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