J2新聖地がざわついた警告 “初陣”を笑顔にした功労者たち…サッカーを楽しむサポーターのために

ピーススタジアムで初の試合【写真:藤原裕久】
ピーススタジアムで初の試合【写真:藤原裕久】

審判団も含め新スタジアムで全員が試合を作った

 J2のV・ファーレン長崎が“初陣”を笑顔で締めた。10月6日のリーグ第34節の大分トリニータ戦。厚い雲がかかりながらも晴れ間が広がり、明るい雰囲気のなか新スタジアムのこけら落としが行われた。“九州ダービー”ということもあり、後半オープンな展開となった試合は、大きな怪我や事件もなく長崎の4-1快勝で終了。選手やスタッフ、試合を担当した審判団も加えて“初場所”での仕事を全うした。

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 10月14日にオープン予定の「長崎スタジアムシティ」。そのプロジェクトのメインを飾るのが、長崎の新ホーム「ピーススタジアム(PEACE STADIUM Connected by SoftBank)」だ。約2万人を収容でき、ピッチとスタンドの最短距離は約5メートル。サッカー専用スタジアムではあるが、アリーナ・ホテル・商業施設・オフィスなどの複合施設が併設され、試合日以外も楽しめるよう工夫が施されている。

 一足先に行われた新スタジアム初の公式戦。長崎側はもちろん、アウェーへ乗り込んだ大分サポーターも触発されるように声援を大きくしていく。両チームチャントが響き渡るなか、プロフェッショナルレフェリー(PR)4年目となった福島一郎主審(鹿児島出身)のキックオフの笛がスタジアム全体に反響する。前半は長崎のプレスがハマり、大分苦戦の図が続く。細かいファウルシーンや、選手が倒れ込む場面の主審対応は冷静だった。

 左サイドを攻め込んだ大分FW野嶽惇也が長崎の選手と交錯した際には、笛でプレーを止め選手を気遣う様子も。状況が変わったのは後半途中、長崎が3点のリードを奪ったあとだった。中盤にスペースが生まれ、点を取りにいかなければならない大分は何度も相手ペナルティーエリア内へと迫る。決死のクリアで長崎が集中力を見せていたこともあり、苛立ちからか徐々に大分が激しくボールを奪いに行く姿も増えた。

 後半11分、大分のフリーキック(FK)チャンスとなったペナルティーエリア手前のシーンでは、ファウルを犯した長崎MF名倉巧へ近づき数回会話を交わす。判定に対し何か言いたげなDFヴァウドにも毅然とした態度を取った。

 判定で会場が最も沸いたのは後半37分、大分MF保田堅心と長崎FWマテウス・ジェズスの接触だろう。左から相手ペナルティーエリア内へ仕掛ける保田に対し激しくボールを奪いに行くマテウス。ライン際で倒れた保田はファウルをアピールするも、福島主審は長崎のゴールキックの判定を下す。保田に異議で即座にイエローカードを提示したこともあり、記者含め会場にいた観客が「おっ?」と記憶に残った瞬間でもあった。

 90分間を通し、初のピッチで観客はサッカーを大いに楽しんでいた。福島主審は時に笑顔で選手に語りかけ、前半43分に長崎MF安部大晴がスライディングタックルで膝あたりを痛めた際には適切な処置。試合中の「プレーオン」を実施するタイミングも違和感がなかった。試合後に長崎選手からは笑顔がこぼれ、敗戦した大分の片野坂知宏監督も試合の内容を悔やむ言葉が並ぶ。一方でスタジアムの裏では長崎の広報が忙しなく動き、運営陣営の休む様子は見られず。すべての尽力が合わさったからこそ、無事「ピーススタジアム」での90分を終えることができたのだ。

(FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也 / Kenya Kaneko)



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