強化部決断に是非?…浦和スコルジャ再登板で3連敗、思わぬ苦境招いた“監督交代”

浦和はホームでC大阪に0-1敗戦【写真:Getty Images】
浦和はホームでC大阪に0-1敗戦【写真:Getty Images】

10月5日のC大阪戦を0-1で落とし、今季初となる3連敗

 浦和レッズは10月5日にJ1第33節のセレッソ大阪戦に0-1で敗れ、今季初となる3連敗を喫した。新監督としてマチェイ・スコルジャ氏が復帰して指揮を執り4試合。その「第1フェーズ」は厳しい結果に終わった。

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 浦和は昨季にスコルジャ監督が率い、決勝のみ戦ったAFCチャンピオンズリーグ(ACL)2022での優勝を果たし、リーグ戦では4位。ACL2023-24はグループステージ敗退に終わり、天皇杯は早期敗退したものの、ルヴァン杯は準優勝。失点の少ない手堅いサッカーを武器に年末のクラブ・ワールドカップ(W杯)まで多くの試合を駆け抜けたが、スコルジャ監督は「人生において仕事と家族の優先順位を変えるべき時」とコメントして辞任した。

 そして今季に向けノルウェー代表監督などを歴任したペア・マティアス・ヘグモ監督を招聘した。クラブから得点力不足解消へのアプローチを求められたヘグモ監督は、その期待に対して一定以上の成果と言える1試合平均約1.5得点ほどのチームにしてきたものの、システム変更を伴ったことも序盤の苦戦につながって失点もほぼ同数という状況で、浦和は8月末に解任を決断。池田伸康コーチを暫定監督に据えて1試合を戦い、新監督としてスコルジャ氏が復帰した。

 9月上旬に行われた就任会見では「これから私が行う作業は、攻と守のバランスをとっていくこと」と話し、代表活動による中断が入る前のC大阪戦までの4試合を最初のフェーズとして位置づけた。そして、「メインターゲットの1つとして、勝ち点をしっかりと取っていくことがある。最初は、あまり美しいゲームは見せられないかもしれないが、チームが勝つための方向性は、しっかりと見せながらやっていきたい」と話した。

 その初戦となったG大阪戦は先制点を1-0で守り切るスコルジャ監督のチームらしさが出たような幸先の良い勝利になった。しかし、続くFC東京戦(0-2)では前半にミスとアンラッキーが絡んだ失点を重ね、ヴィッセル神戸戦(0-1)とC大阪戦は前半にセットプレーで失点。なによりも、昨季と同様に攻撃力に問題を抱えるゲーム展開が復活してしまい、3試合連続の無得点で敗れた。

直近4戦でわずか1勝の厳しい結果に【写真:徳原隆元】
直近4戦でわずか1勝の厳しい結果に【写真:徳原隆元】

スコルジャ監督指揮下の4試合で残った重い事実

 スコルジャ監督はC大阪戦後に第1フェーズとした4試合の総括として「まず、どの試合でも『安定しなかった』と言えるだろう。チームとして、ピッチ上から消えているような時間帯があった。そしてその数分後にはいいプレーが見られるというような、試合の中で波があった。印象ではあまり語りたくないので、本日の試合に関してはあまり戦術的な話はしないが、チームのベストなセットアップ、ベストな形を見つけていきたい。4試合プレーしたところでデータも蓄積してきている」と話した。

 この4試合で残った事実としては、ヘグモ監督の指揮下では一度もなかった3連敗を喫し、リーグ戦27試合(前半終了時で中止された8月24日の川崎フロンターレ戦を含む)で5試合だった無得点試合はすでに3試合というもの。足踏みはあったものの5月末から6月にかけ良い形になってきたチームと、夏の登録ウインドーを前に複数の主力が退団したあとの補強が遅れた7月に苦しんだこと、8月に入ってチームが復調してきたタイミングでの監督交代に踏み切ったことも含め、強化部門が下した決断に疑問が呈されるのも自然だろう。

 浦和に今季残されたのはリーグ6試合と1-0で始まる川崎戦の後半45分間で、勝ち点の可能性としては7試合分となる。今夏の悪天候の影響で消化試合数に違いのある順位表になっているが、5日終了時点では暫定13位で降格圏と勝ち点7に迫ってしまった。少なくとも今季の残り期間で、トータルとして監督交代の効果が実感されるチームにまとめ上げることが求められる。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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