フォロワー121万人…スーパースターがなぜ山口へ? 「J2でもJ3でも」導いた日本への思い【インタビュー】
タイ代表で主力を担うサーラット、日本への思いを強くしたきっかけとは?
東南アジアを代表するスーパースターの海外初挑戦に、大きな注目が集まっている。今年7月1日、レノファ山口FCはBGパトゥム・ユナイテッドFCからMFサーラット・ユーイェンを期限付き移籍で獲得。タイ代表で主力を担う32歳は、なぜJ2を新たな舞台に選んだのだろうか。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大/全2回の1回目)
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タイ代表では国際Aマッチ83試合に出場。北海道コンサドーレ札幌や川崎フロンターレで活躍したチャナティップ・ソングラシン(BGパトゥム)、ヴィッセル神戸や横浜F・マリノスでプレーしたティーラトン・ブンマタン(ブリーラム)らに並ぶ人気選手の1人だ。BGパトゥムではキャプテンも務めていた。
インスタグラムのフォロワー数は121.6万人を誇り、これは元日本代表MF本田圭佑をも上回る数字だ。山口の公式インスタグラムが2.6万人ということを考えると、影響力の大きさが分かる。そんなスターの突然の移籍は母国で驚きをもって伝えられたが、本人は「今回のチャレンジは嬉しいと思っているんです」と語る。
32歳という年齢的にも、海外挑戦には最後かもしれないチャンス。BGパトゥムで築いた地位を捨て、「J2でもJ3でもどのチームでも」と日本への移籍を熱望していた。そんななか、2022年にBGパトゥムでコーチを務めた経験を持つ志垣良監督が率いる山口からオファーを受け、念願の移籍が叶ったという経緯だ。
そんなサーラットが、日本への思いを強くしたきっかけがある。ムアントン・ユナイテッドFC時代の2018年1月30日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)本戦出場を決める東地区プレーオフで柏レイソルと対戦。FWクリスティアーノが2ゴール、FW伊東純也(現スタッド・ランス)が1ゴール2アシストの活躍で0-3の完敗を喫し衝撃を受けた。
「それがきっかけで少しずつ日本のサッカーを学んできて、日本の強さなどを見てきたんです」。その後は、チャナティップらが日本で実力を示し、サーラットにもJリーグから話があったという。しかし、実現には至っていなかった。
「ただ、その時に自分の怪我があって、1年半ぐらいのリハビリをしないといけなくなり、行けなくなってしまったんです。だから今回チャンスがあって、自分もずっと海外でプレーしたいと思っていたんです」
加入から約1か月半が経過し、8月17日に行われたJ2リーグ第27節の藤枝MYFC戦でデビュー。同21日の天皇杯4回戦・サガン鳥栖戦では先発出場も飾った。卓越した足元の技術と広い視野からのパスは光ったが、守備の面では徐々に適応している最中だ。若手とともに汗を流すタイの名手が、残り試合で輝きを放つだろうか。
[プロフィール]
サーラット・ユーイェン/1992年5月30日生まれ。タイ出身。ムアントンU―プーケット(期限付き)―ナコーンラーチャシーマー(期限付き)―BGパトゥム。タイ代表83試合6得点。今年1月1日に国立競技場で行われた日本代表戦にも出場した。ニックネームは「タン」。来日して1番好きな食べ物は「焼肉」。
(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)