新人SBなのに9ゴール…指揮官も絶賛「ゴール前での嗅覚がある」 鹿島22歳の潜在能力
濃野公人が2ゴール…ポポヴィッチ監督「今日も良いゴールを決めてくれた」
鹿島アントラーズは9月28日のJ1第32節で湘南ベルマーレと対戦し、前半27分までに2点をリードも、その後に3失点して2-3の逆転負けを喫した。8月7日に行われた第25節の鳥栖戦に3-0で勝利して以降、リーグ戦は6試合で3分3敗と未勝利が続いている。
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そんなチームにとって明るい話題といえば、DF濃野公人の存在だろう。今シーズンの大卒ルーキーは右サイドバックながらもチームのエースであるFW鈴木優磨に次ぐ得点数を重ねている。この湘南戦でも前半22分にCKからDF関川郁万が流したボールをゴール前で押し込むと、その5分後には鈴木へ縦パスを出してゴール前に侵入。リターンパスを受けて右足でゴールを射抜いた。
プロ初となる1試合2ゴールの濃野は今季のリーグ戦通算ゴール数を9に伸ばして、クラブの新人最多ゴール記録を更新。さらにルーキーでの2桁ゴールにも王手をかけた。
ランコ・ポポヴィッチ監督は、自身が抜擢している濃野について「非常に才能があってポテンシャルのある選手。前に出ていくフィーリング、スペースを感じる嗅覚やゴール前での嗅覚があります。今日も良いゴールを決めてくれたと思っています」と評価。一方でまだチームの中心選手たちに引っ張られている存在であることを強調した。
「ただ、彼も今年がプロ1年目で、これだけ試合に出続けた経験はありません。そういう選手が師岡(柊生)、名古(新太郎)、知念(慶)もそう。彼らは軸になる選手たちをサポートしていく役割の選手たちだと思っています。その意味では、チームの軸になる選手たちが良いパフォーマンスをしていたから、あれだけ活躍してくれていました」
そして「キミ(濃野)に関してもストロングだけではない。課題もあるが、そこだけに目をやると彼の良さは出ない。彼の成長を妨げることになる。あれだけ能力、ポテンシャルのある選手ですからね。課題があっても私は使っていきたいと思っています。クラブの未来を考えたら使っていくべき選手、使うべき選手だと思っています」と起用を続ける理由を説明した。
とはいえ「キミはチームを引っ張り、プレッシャーを跳ねのけるという存在では、まだありません。チームが彼を生かしていけているからこそ、彼がここまで結果を出せている要因だと思う」とコメント。実際にこの日も後半20分に許した同点ゴールの際、DF畑大雅に対応しきれないなど、守備面では粗さも目に付いた。そうしたところに目をつむりながらも、彼のポテンシャルにかけているということなのだろう。
ポポヴィッチ監督は「今日の試合も2-0でリードしながら逆転負け。3点目を我々が決めきれなかったことも、結果を出すにあたっては足りなかったところ。3点目を決めて、相手の心を折ること、そして失点をしないこと。それをしなければいけない試合だった。全員で何ができなかったか、何がよくなかったかはしっかりと共通理解をもって確認しながら次に向かいたい」と、一人の活躍に焦点をあてるのではなく、チーム全体に目を向けることの必要性を強調した。
(河合 拓 / Taku Kawai)