高3逸材、驚異の40ゴール「点取って当然」 飛びぬけた才能、進路はプロではなく大学

帝京大可児高の逸材・加藤隆成【写真:FOOTBALL ZONE】
帝京大可児高の逸材・加藤隆成【写真:FOOTBALL ZONE】

帝京大可児高の3年生エース加藤隆成、得点意欲旺盛なタレントの肖像

 東海地区に驚異のゴールハンターがいる。帝京大可児高の3年生エースストライカー・加藤隆成は今年のインターハイ初戦の立正大淞南戦でハットトリックを達成すると、2回戦の桐光学園戦でも後半アディショナルタイムに同点弾を叩き込む(この試合はPK戦の末に敗退)など、2試合で4ゴールを叩き出して、得点ランキング3位タイとなった。

 チームは昨年から県リーグ1部でプレーしている。そんななかで加藤は昨年リーグで前人未到のハイスコアとなる40ゴールを叩き出し、選手権でも2ゴールをマーク。今季も残り4試合で28ゴールと昨年ほどではないが、得点ランキングトップを独走している。

「常に点を取れているからいいやではなく、こだわりを持って1本1本貪欲にやっていきたいと思っています」

 175センチと大柄ではないが、フィジカルとボールコントロールを生かしたポストプレーと、スピードを生かした前への推進力が武器。アジリティーもあり、ボールを受ける前に細かいボディーシェイプやショートスプリントを繰り返しながら、相手DFの歪みに入り込んでいく。ボールが来れば、複数の選択肢を持った状態で確実にゴールに迎えるプレーを瞬時に選択する。だからこそ、相手にとっては捕まえづらく、シュートまで持っていかれてしまう。

 プレミアリーグでもプリンスリーグでもゴールを奪える能力を持っていることは、昨年の選手権や今年のインターハイで証明済み。それゆえに県リーグでは「点を取って当然」と思われるほどのタレントだ。ただ、そのメンタリティーにどっぷりハマってしまうと、いざ相手のレベルが上がった時に点が取れなくなってしまう。県リーグの1試合1試合にどう向き合うかどうかで、自身の成長速度は大きく変わってしまう。それを彼自身はよく理解していた。

「(県リーグは)攻める時間が長いというとことは、それだけゴールに迫る回数が多いということなので、自分の武器であるフィニッシュの部分をより磨ける環境だと捉えています。僕の強みである裏への抜け出しだったり、足を使った裏抜けだったり、いろんなゴールパターンやゴールアプローチのパターンのレパートリーを増やせるチャンスだと思っています」

 県リーグ第14節の岐阜工業高戦でも彼のもとには多くのチャンスが巡ってきたなかで、ハットトリックを達成した。1点目はゴール前のこぼれ球にいち早く反応し、倒れ込みながら泥臭く押し込むと、2点目は左からのクロスを手前で失速する難しいボールだったが、走り込んだ状態でハーフボレーから確実に左足をミートさせ、ゴールに右隅にダイレクトで蹴り込んだ。自ら得たPKはGKにストップされたが、後半にスルーパスから抜け出して冷静にGKとの1対1を制した。

「どうしても相手が引いてブロックを作ってきたり、自分に複数枚でマークに来たりと、よりスペースがない状態でプレーすることが多いなかで、それでもこじ開け続けられるように技術や判断面で工夫し続けることが出来れば絶対に成長する。むしろ全国に行けば前に出てきてくれるチームが増えるので、より自分の持ち味が出せる環境になる。その時に爆発するために今は1試合も無駄にできないと思っています」

 卒業後は関東の強豪大学への進学が決まっている。4年後プロを目指しながら、まずは残りの高校生活でやるべきことをやり遂げる。

「昨年のゴール記録はまだ超えられると思っていますし、必ずプリンスリーグ東海にチームを戻して、かつ選手権に出て、国立競技場のピッチに立ちたいと思っています」

 東海を代表するポイントゲッターは悲願達成に向け、その牙を鋭く研ぎ澄ませる。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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