Jリーグ25年ぶりの契約制度改定は「悪い話ではない」 チェアマンが「違和感があった」理由は?

Jリーグが「プロ契約ABC区分を撤廃」を発表(写真はイメージです)【写真:徳原隆元】
Jリーグが「プロ契約ABC区分を撤廃」を発表(写真はイメージです)【写真:徳原隆元】

「ABC契約制度」を撤廃…基本報酬の上限は1200万円

 Jリーグは9月24日に理事会を開き、終了後に記者会見を行った。1999年から施行されてきた選手契約に関する「ABC契約制度」の撤廃について、野々村芳和チェアマンは「当時は国内でなんとか安定させて作っていくということからできたものだろうけど、一定の役割は終わっている」と話した。

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■改定の概要
(1)プロ契約におけるABC区分を撤廃
※2026シーズン(2026年2月1日)から

(2)プロ契約締結初年度の報酬上限規制を緩和
→基本報酬1200万円(消費税別)+支度金500万円(消費税別)
※2026シーズン(2026年2月1日)から

(3)プロ契約の基本報酬の下限を新設
→J1リーグ:480万円/J2リーグ:360万円/J3リーグ:240万円(いずれも消費税別)
→プロ選手の最低人数を各クラブ20名以上に設定
→18歳以下のプロ契約選手は、年俸下限の例外対象とすることもできる
※2026/27シーズン(2026年7月1日)から

 これらについてJリーグの樋口順也フットボール本部本部長は、「2022年後半くらいから選手会やクラブと長く議論してきた。この制度が議論されたのは1997年頃のこと。93年から始まったJリーグだが、バブルがいったん弾けてあるべき姿を議論した。ABC契約に大きく改定をするのは25年ぶり。環境が変わり、競争相手が海外になったことや国内プロスポーツの環境も変わった。選手会とは、吉田麻也会長を中心に議論してきた」と話している。

 そして、1つの基準に「2000万円に近づく」というラインがあったと話し、これまでは家族構成などで金額が上下していた支度金も一律のものになる。そして、上限を1200万円とした根拠について「これで海外との獲得競争に勝てるとは思えないが、新人選手の報酬を変えると2年目や3年目の選手も変わってくるだろうから、今その年齢の選手の報酬がどれくらいかを見ていった」と話し、「緩和するだけでいいのかという議論もあり、将来的には上限を撤廃することも議論していく」と話した。

 1995年にジェフユナイテッド市原(当時)に入団して現役選手としてプレーした野々村チェアマンは、「当時の初年度の給料とあまりにも違うことに違和感があった。純粋にサッカー選手としてクラブに評価されるなら、一定の金額以上がもらえる世界でないとおかしいのかなと思っていた」と話す。

 そのうえで、「30年前のJリーグと世界のサッカーのマーケットと、最近のそれは全く変わってきている。当時は国内でなんとか安定させて作っていくということからできたものだろうけど、一定の役割は終わっている。世界とどうやっていくかという議論の中では、当然の流れだと思っている」と話した。

 また、下限を設定したことについて影響を受けやすいのは規模の小さなクラブと見られるが、「現状、この金額を下回っている強化費しか使えていないクラブはないと思う。今のJ3のクラブなら大丈夫だろうと。来季に上がってくるかもしれないJFLのクラブにも話しているし、そこでもほぼ問題ないような金額。選手にとって最低でも守られるものがあるというのを設定できたのは、悪い話ではないと思う」と話していた。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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