日本→渡英で即ハット「さすがだなと」 元エースが海外で躍動、古巣敗戦で露わになった存在価値

デビュー戦でハットトリックを達成した清家貴子【写真:Getty Images】
デビュー戦でハットトリックを達成した清家貴子【写真:Getty Images】

WEリーグ浦和レディースの楠瀬監督、ブライトン清家貴子の活躍に私見

 ウィメンズ・スーパーリーグ(イングランド女子1部)のブライトンに今季加入した日本女子代表(なでしこジャパン)のFW清家貴子は、現地時間9月21日にエバートンと対戦したデビュー戦でハットトリックの大活躍を見せた。昨季まで所属した三菱重工浦和レッズレディースの楠瀬直木監督は「監督の指示は言葉が分からなかったと思うけど、それがちょうどいい」と笑った。

 エバートンとのリーグ開幕戦にスタメン出場した清家は前半29分に先制ゴールを決めると、後半11分にも追加点を奪取。そして同30分、強烈な右足シュートをニアサイド上に突き刺してハットトリックを達成。チームも4-0で勝利した。

 特に3点目の場面は、監督がパスを指示しているところをそのままドリブルで持ち込んでシュートをしたのではないかとされ、9月22日のWEリーグ第2節INAC神戸レオネッサ戦(0-1)後の記者会見で質問を受けた楠瀬監督は「清家はさすがだなと。監督の指示は言葉が分からなかったと思うけど、それがちょうどいい」と笑った。

 その言葉の真意として、指揮官は「これは僕が悪いんですけど、(清家に)僕も現役の時にベンチの言うことなんか聞かなかったと言っていたので、聞かないんですよ。いい意味でね。彼女にとっていい環境だったのかなと思う」と、自身も読売クラブや本田技研工業(ともに当時)でプレーした経験から、ピッチ上での感覚を大事にする指導をしてきたことが現れたものだと話した。

 楠瀬監督はWEリーグのクラブを率いる監督として「このおかげで日本人の株が上がって、また刈り取られなきゃいいけど」と苦笑いしたが、「うちの選手の自信にもなっている。そのプレーを見ていた選手が、うちとベレーザのほうがレベル高い試合だったよと言ったりね」と、昨季まで所属した選手の活躍が励みになっている側面にも触れた。

 一方で、浦和はこの日のゲームで前半に先制点を許すと、最後までINAC守備陣の牙城を崩せずに敗れた。昨季に22試合20得点という驚異的な数字を残した清家が移籍して迎えるシーズンだけに「ただ、こういう拮抗したゲームで清家が取って勝ってくれていた。チーム力は前からこんなもので、頼ってしまっていた部分はある」として、その穴の大きさも今後の大きな課題として挙げていた。

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