森保Jはなぜ3バックで攻撃爆発? 元教え子・佐藤寿人が語る「世界相手に違いを作れる」メカニズム【見解】

佐藤寿人氏が森保ジャパンの3バックに見解【写真:ロイター】
佐藤寿人氏が森保ジャパンの3バックに見解【写真:ロイター】

3バックで2戦12発 超攻撃型システムの“穴”は?

 森保一監督率いる日本代表は9月10日、アウェーで北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選でバーレーンと対戦し、5-0の勝利を収めた。7-0で圧勝した中国戦に続いて連勝スタート。「FOOTBALL ZONE」ではバーレーン戦でスポーツチャンネル「DAZN」の中継リポーターとして現地取材した、歴代3位のJ1通算161ゴールを誇る元日本代表FW佐藤寿人氏を直撃。かつて森保監督の元で“3バック”に臨んでいた佐藤氏の見解に迫る。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 2試合で12ゴール。超攻撃的な3バックはMF三笘薫、MF堂安律、MF伊東純也ら“個”を持つ選手の両翼が特徴的で、厚みある前線5人での攻撃が破壊力抜群だ。中国、バーレーンは中、外を使い分ける攻撃陣に苦戦。結果的に大量失点となり、戦意喪失し、日本とレベルの差を見せつけられることになった。

 かつてサンフレッチェ広島時代に森保監督の元、可変の3バックでプレーしていた佐藤氏。森保ジャパンが6月シリーズから積み上げてきた超攻撃型3バックは「オプションが多い」と絶賛した。

「相手を見ながら自分たちの強みを作り出せる。前5枚の人選も(中国戦とバーレーン戦で久保と鎌田)スタート1人入れ替えだけで90分×2の180分でいろんな組み合わせが見られた。入っていない選手でも能力高い選手もいるし、旗手や細谷はベンチにも入れなかった。競争力が高い。中国戦でもチャンスを作ったのが外から外。バーレーン戦も左の三笘から右の堂安で最初のビッグチャンスを作った。幅を取る選手が幅を取るだけで終わらない。中に関わるのは5枚のうち1枚をサイドで使ってもほかの4枚がボックス内に入れる。ゴール前の迫力というと、その迫力が12のゴール数以上に感じられた。選択肢は前線のタレント、それで変化できるな、と」

 シャドーの組み合わせでも、南野&久保、南野&鎌田、鎌田&久保、浅野&久保。両翼は三笘&堂安、前田&伊東、三笘&伊東、中村&伊東。そこに1トップ上田と小川が入ってくる。多彩な組み合わせで多彩な攻撃パターン。まさにそれぞれの特徴を生かした12ゴールだった。

 広島時代は可変の3バックだったため、配置の違いはあるが、かつて森保監督の元でプレーした佐藤氏は「一番の広島時代との違いはサイドのアタッキングサードで、両ワイドがウイングバックの役割が色濃かったこと。(広島では)スタート位置が低くて前に出て行くけど、今はどちらかと言うとウイング。配置で言うと3-2-5、3-2-4-1みたいな感じなので、そのなかでサイドの選手がかなり高い位置を取る。高い位置を取ると、ボランチとうしろ3枚が埋めるスペースが大きくなるリスクがある。でも、森保監督が言っていたけど、攻撃とのバランスで(中国戦の)7つのゴールで攻撃にフォーカスされるが、守備が良かった、と」。リスクがありながらも、3バック+ボランチ2人が抜群の安定感で守り切る。まさにいい守備からいい攻撃が生まれていた。

 10月シリーズは敵地サウジアラビア戦、本拠オーストラリア戦の強豪2か国と連戦が待ち受ける。最終予選、最大の山場と言っていいだろう。3バックを継続するなら、6月からの4戦で積み上げたものをここで発揮したい。

「攻撃の5枚のところだとアジアだけではなくて世界、W杯で戦う相手に違いを作れるレベル。選手個々を見ても証明されていると思う。バランスを考えた時に10月の2試合は試すじゃないけど、どれだけリスクをかけた時に攻撃をしっかり完結させられるかが鍵になると思う。守備の配置のところのストロングの代償とまでは言わないけど、それを含めてチームとしてどう解消していくか。特にサウジはアウェーで退場者も出してチームの心臓のカンノが出場停止。それを考えるとサウジもホームで日本に対してモチベーション高いと予想される。そのなかで10月2試合の相手は今チャレンジしているところの課題も見えてくるんじゃないかな、と思います」

 ここで課題が見えても問題ない。W杯までブラッシュアップしていく必要があるため、最終予選を戦いながら強化につなげられるのは今の森保ジャパンの実力があってこそ。まだまだ進化を遂げる超攻撃型3バックに佐藤氏も期待していた。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)

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