引退から16年も…現役さながらの51歳 驚いた人物像、日本代表で光る“唯一の才能”

日本代表・名波浩コーチ【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
日本代表・名波浩コーチ【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

練習ピッチでは51歳ながらも猛暑のなかランニング

 森保一監督が率いる日本代表では、2023年より左利きの名手・名波浩氏がコーチとして選手たちに経験を落とし込んでいる。現地時間9月10日のバーレーン戦は5-0の快勝を収めた。日中は40度に達し、地元民も出歩くことをためらう環境下だったアウェーの地において、51歳となったスターが滝のように汗を流しながらピッチを何週もランニングしていた背中を振り返る。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也)

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 5日の中国戦(7-0/埼玉)を終え、6日にバーレーン入りした森保ジャパン。到着日はジムでのリカバリートレーニングにとどめ、本格的な練習始動は翌日からとなった。選手たちも、動くだけでウェアの色が色濃く変色するほど多量の汗をまとうような環境。練習場はそこまで背の高くない塀で囲まれ、少し日が落ちた夕暮れにもなると、ようやく地元の人々が周囲をランニングする姿がちらほらと目につくようになる。それでも、汗を吸って鉛のように重たそうなTシャツを着た彼らの姿は筆者の目に十分苦行のように映った。

 ピッチでの練習2日目、選手たちがグラウンドに着く前には豪華なコーチ陣が身体を動かしていた。時間は17時頃。まだ日が落ち切っていない、倒れそうな暑さのなかだった。練習場では、前田遼一コーチとズボンをまくり上げた長谷部誠コーチによるパス交換が行われていた。一方で名波コーチは、ピッチの外周を何度もランニングで回っていた。

 記者たちの姿が見えると「こんにちは!」とフレンドリーに挨拶をしてくれる。黒のタンクトップ、短パンから垣間見える肉体は、到底50歳超えとは思えぬ引き締まったものだった。スタッフと話をしつつ、くらくらするような暑さを実感していた名波氏。9日の練習では、アップをする選手たちに「いいぞ!」「ナイス!」とポジティブな声掛けをする姿が印象的だった。

 練習後には、居残りでトレーニングを続ける選手たちへの球出しをしていた名波氏。目の当たりにして驚いたのは、やはり左足から繰り出される綺麗すぎるボールの弾道だった。もちろん選手たちの実力は言うまでもなく、長友佑都も「僕が見てきた中では一番強い個のクオリティー」と断言するが、名波氏のキックは卓越していた。ボールの回転、落としどころ、届ける味方を気遣った強弱……。見る者を魅了するとは、こういうことを言うのだろう。

 代表歴の長いベテラン長友は続ける。「名波さんの攻撃のところも含めてすごく戦術的にも洗練されてきている」と、効果にも言及。充実したコーチ陣のおかげもあり、厳しい気候、ブーイングやレーザーポインターの洗礼を受けながらも日本はバーレーンを撃破している。なかでも名波氏のリアルな姿は実に人間らしく、キック1つとってみても観るものを魅了するものがあった。

(FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也 / Kenya Kaneko)



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